四年に一度の祭典、ワールドカップに挑んだ今年の日本代表。大会前に指揮官交代という大きな決断を下したなかで、ベスト16に進出すると、ベルギーと激闘を演じた。
大会後には森保一新監督のもとで、新たなメンバーたちが新風を起こしつつある。
様々な出来事があった今年の日本代表における「年間MVP」は一体誰なのか。コラムニストの方々とともに選定してみたぞ!
吉田麻也(1票)
年間通じて出場し、槙野智章、昌子源、冨安健洋など相方が目まぐるしく変わる中でも常時安定したプレーを披露した。今年指揮を取った3監督全員のチーム作りを楽にしたという意味でもベストは彼でしょう。
(選定者:亀浦六斗)
長友佑都(1票)
前代未聞の監督交代騒動で、厳しい目が注がれていたワールドカップ直前の日本代表。
チームを取り巻く空気も少しでも変えようと、自らド派手な金髪にした長友佑都の想いと行動は、一つのターニングポイントだったと感じている。
西野監督が後に明かしたポーランド戦後の「ある小さな選手」のエピソードなど、大会中もチームのためにすべてを捧げた長友。
ピッチ上でのパフォーマンスとともに、現在に至る“流れ”を作った人物の一人として高く評価したい。
(選定者:編集部O)
山下杏也加(1票)
なでしこジャパンのアジアカップとアジア大会の2冠達成に大きく貢献。PKセーブを含むビッグセーブの連発で、劣勢でも勝ち切れるチーム力を身につけられたのは彼女の存在あってこそ。
所属のベレーザでも彼女がレギュラーに定着した2014年度の皇后杯優勝から翌年以降のリーグ4連覇中である現在の黄金期が始まった。ベレーザでは今季よりポジショナルプレーを本格導入されていることもあり、ビルドアップの精度も飛躍的に向上中だ。
高校1年生からGKに転向しただけに課題は全て伸びシロである、「なでしこの守護神」には2019年の女子W杯フランス大会でも活躍を期待したい!
(選定者:hirobrown)
長谷部誠(2票)
“偉大なキャプテン”をMVPに推したい。
誰もが認める主将だが、とくにハリルホジッチ監督の解任以降、チームとして難しい時期を上手くまとめ上げた印象がある。ワールドカップで指揮を執った西野監督から見ても、相当に頼もしい存在だったのではないだろうか。
ある意味、歴代監督も信頼した長谷部のリーダーシップがあったからこそ、あのベルギー戦に辿り着けたのだと思う。
(選定者:LFB店長)
今年のMVPを選ぶのであれば、どうしてもワールドカップに注目せざるを得ない。予選はすでに終わっていたし、4年間の全てをかけて臨む大会だったのだから。
もちろんその際に攻撃で大きく貢献したのは乾貴士か大迫勇也だったが、代表でのキャリアのラストを飾るだけの活躍を見せ、後方からチームを支え続けたキャプテン、長谷部誠を選びたい。
チームの調和を整え、時には年下から弄られもする、あんなリーダーがいればどんな組織も良くなるだろうと思える。後継者よ、出てこい!
(選定者:籠信明)
槙野智章(2票)
ハリルホジッチ氏の指導によって完成度の高いセンターバックへと成長。
残念ながら本大会での出場機会は限られたものの、インタビューや立ち振る舞いから若手選手とベテラン、そしてチーム全体の雰囲気を纏める「縁の下の力持ち」的な存在として躍進に貢献した印象だ。
冨安健洋や三浦弦太ら若手の追い上げに負けず、来年のアジアカップではチームの中心選手として活躍してほしい。
(選定者:yosuke)
ピッチ上で活躍した選手はたくさんいた。ワールドカップ前までの川島永嗣の安定感、急成長した酒井宏樹、ベスト16に導いた乾貴士、そして代わりがいない大迫勇也…。
ただ、ハリルホジッチ体制、西野朗体制、そして森保一体制と常にメンバー入りし、そして重要な「チームの雰囲気」を作り出してきたという点で槙野智章の存在は大きかった。
突然の監督交代、協会への激しい批判、それが選手たちの「クーデター疑惑」にも…ともすれば暗くなってしまうような出来事も多かったはず。しかし彼がチームを明るくし、ときには広報のように対外的な役割をこなした。存在感ならばMVPである。
(選定者:編集部K)
中島翔哉(2票)
中島は今年の日本代表で6試合に出場し、そのうち4回もマン・オブ・ザ・マッチに輝いている(マリ、コスタリカ、ウルグアイ、キルギス戦)。日本の新しいエースになった。
昨季の時点でももう日本人のベストプレーヤーだったから、ワールドカップに行くべきだった。彼と堂安がいたら日本代表は準決勝まで進んでいたかもね!
(選定者:チアゴ・ボンテンポ/ブラジル人)
ここ数試合での結果を純粋に評価すれば、代表戦で3試合連続弾をマークした南野拓実。ロシアワールドカップにおけるパフォーマンスを重視して査定するならば酒井宏樹、柴崎岳などが挙げられるだろう。
しかし、ここでは中島翔哉を「2018年のMVP」に選出したい。新時代の旗手は、その結果以上に日本のサッカーファンに対して大きな影響を与えているためだ。
それは、皆が忘れかけていた「常にサッカーを楽しむ」ということがいかに素晴らしいことなのかである。
背番号10が試合中に解き放つ、とびきりの笑顔と喜びに満ちた姿は、日本サッカー界に明るい未来をもたらしていくだろう。
(選定者:カレン)
大迫勇也(3票)
ハリル、西野体制でも不動の存在として活躍し、現森保体制でもチームの大黒柱として君臨する大迫。
「(大迫)半端ないって」が新語・流行語大賞にノミネートするなど、その影響力はサッカーファンの間にとどまらなかった。日本サッカーを最も盛り上げたことが最大の理由だ。
(選定者:ハルトキノシタ)
ワールドカップの成功はコロンビア戦でPK獲得を誘引し、決勝ゴールを決めた大迫から始まったと言ってもいい。
決定力の面ではやや物足りないものの、現在の彼を例えるなら「一番前にいる一番うまい選手」。最前線の司令塔ともいうべきで、欧州で磨かれた体や手を使ったボールキープの仕方は、今すぐに教科書にして少年たちに教えてほしいほどだ。
(選定者:井伊莞爾)
長年課題であったセンターフォワードに定着。手練れのセンターバック相手にもポストプレーを確実に行う姿で、半端ない実力を見せつけた。ワールドカップを挟んでもレギュラー格の座は変わらなそうで、今後も期待できる。あとは得点さえとれれば文句なしで来年もMVPだ!
(選定者:編集部Q)
酒井宏樹(3票)
年間を通して主軸であり続けた大迫勇也の存在感は圧倒的だ。とはいえ、酒井宏樹も決して引けを取らないはず。
怪我はあったがマルセイユではキャリアハイといえる好パフォーマンスを披露し、代表でも非常に頼れる選手に成長。
ワールドカップでも彼の存在は頼もしかったし、その代わりはいない。ついに待望の代表初ゴールも決めたし!
(選定者:編集部I)
クラブでの活躍やW杯後のプレーを考えれば、酒井宏樹がMVPにふさわしい。
攻守両面に優れた右サイドバックは、マルセイユ2年目で覚醒。持ち前の高速クロスや強固なフィジカルと対人守備はもちろん、ワンツーを用いるオーバーラップなど、攻撃連係の幅が広がった。守備面も素早い攻守の切り替えに、危険地帯を潰すオフザボールの動きが向上した。
クレバーかつパワフルなプレーは代表でも健在。不動の右サイドバックへと成長を遂げた。28歳と円熟期を迎える酒井の活躍から目が離せない。
(選定者:高橋アオ)
2018年ということで、ロシアワールドカップで主力としてプレーし、現在の森保ジャパンでも引き続き主力として活躍している選手こそがMVPに相応しいという観点から、私は酒井宏樹を推したいと思います。
柏時代から定評のあったクロスという武器に加え、守備面で更に安定感を増したことで所属のマルセイユでも主力としての評価を確立。その成長ぶりを日本代表にも還元してくれたことがベスト16進出と森保ジャパンの好スタートに繋がっていると言っていい。
代表初ゴールを決めたベネズエラ戦では勢い余ってPKを献上する場面もありましたが、それでも今年の日本代表を牽引した立役者としての評価が変わることはないでしょう。
(選定者:一条のりお)
乾貴士(3票)
ロシアの地で輝きを放ったアタッカーを年間MVPに推したい。
グループステージのセネガル戦では見事なコントロールショットで酔わせ、ラウンド16のベルギー戦では名手クルトワの牙城を崩す無回転ミドルで夢を見せてくれた。
乾の活躍なくして、日本の躍進もなかっただろう。ベティスで存在感を発揮し、 “森保ジャパン”でも小気味良いドリブルで沸かせて欲しいところだ。
(選定者:ロッシ)
あのベルギー戦でのゴールは本物のワールドクラス。
試合結果は本当に残念だったが、クルトワを破ったあのスーパーミドルは、日本サッカーが新たなステージに上がった事を世界に宣言してくれる一撃だった。
大会直前のシステム変更という決断を下せた西野監督と、それで控えに回っても腐らなかった本田圭佑にも特別賞を。
(選定者:駒場野/中西 正紀)
乾は西野監督に代わってサプライズ招集され、大会後は一度も招集されていない。いわばワールドカップで活躍しただけなのであるが、それでも彼がいなければ現在の“好景気”な日本代表は存在し得なかっただろう。
黄金世代の集大成だった2006年大会、過去最強とも考えられたザックジャパンの2014年大会と、自分たちが主導権を握ることを掲げたサッカーで無残に散った日本サッカー界は、これまで歩んできた過程そのものを否定されかねない状況にあった。
いや、されていたに等しい。
しかし西野監督の代表チームはこれまでの歩みを踏襲しながら、日本人でも、アジアのチームであってもただひたすら耐えるだけではなく、あれほど魅力的なサッカーを大きな舞台でできるという確かな足跡を残したのである。
そうして考えると、その大会で最も活躍したのが、平均的な日本人よりもさらに小さい乾であったのは象徴的だったと言える。このことがどれほど子供たちや私たちファン、現場の人間を勇気づけたか計り知れない。彼がやってのけたことは、目に見える数字以上の価値がある。
(選定者:編集部H)
コリー編集部とコラムニストの選定の結果は以下のようになった。
3票
乾貴士、酒井宏樹、大迫勇也
2票
長谷部誠、中島翔哉、槙野智章
1票
吉田麻也、長友佑都、山下杏也加
思った以上に割れ、総勢9名にもなったが、1位は3票を集めた乾、酒井宏樹、大迫が並ぶことに!
そこで急遽SNSのアンケートで決選投票を実施することとし、今年の日本代表で最も輝いた選手、すなわちMVPを決定したいと思います。しばしお待ちあれ!