柔道GS大阪大会 男子81キロ級 永瀬3位 五輪出場 望みつなぐ 完全復活への一歩

 今月上旬の講道館杯で初戦敗退してから3週間。男子81キロ級の永瀬が3位入賞した。「優勝を目標にしてきたので」と納得はしていなかったが、復活への確かな一歩を踏み出すと同時に、2020年の東京五輪出場へ望みをつないだ。
 昨夏の世界選手権で右膝靱帯(じんたい)を断裂。1年以上のブランクを経て挑んだ講道館杯は力を出せなかったが、過去の実績を評価されて今大会に選出された。「一度は死んだ人間。はい上がるだけ」。そう自らに言い聞かせて「忘れていた技術面以外の試合勘など準備」も入念に見直してきた。
 迎えた世界選手権以来の国際大会。準々決勝で「判断を瞬時にできなかった」ところを突かれたが、強豪ぞろいの階級で、相手の好きにさせない組み手のうまさ、泥くさく一本を奪う粘り強さなど持ち味は発揮した。会場で見守った長崎日大高時代の恩師、松本監督も動きの変化を評価した上で「細かな感覚も時間が解決してくれると思う」と期待した。
 故障との闘いや不安を乗り越えて、再び世界の頂点を見据える25歳。この日、同階級で決勝に進んだ佐々木と小原、9月の世界選手権2位の藤原に世界ランキングで差をつけられるなど、五輪への道は険しいと言えるかもしれない。
 だが、元世界王者はそれを切り開く覚悟はできている。「一つ一つの大会がそこにつながる。勝つことで少しずつだけど向かっていく。可能性がある限り、一日一日成長して、そこを目指す」

【男子81キロ級3回戦】大内刈りで技ありを奪う永瀬貴規(右)=丸善インテックアリーナ大阪

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