【MLB】大谷翔平が抱くアンドゥハーへの敬意「最終的な3人に選んでもらっただけで…」

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

ヤ軍アンドゥハーらライバルに感謝「レベルの高い場所でできてよかった」

 23日に都内の日本記者クラブで会見したエンゼルスの大谷翔平投手。記者312人、スチールカメラ30台、テレビカメラ31台が集まった1時間の会見では、新人王のライバルだったヤンキースのアンドゥハー&トーレスへ敬意を示しつつ、日本人ではイチロー以来17年ぶり4人目の新人王受賞を喜んだ。

 報道陣から新人王受賞の振り返りを求められた時だった。大谷は新人王獲得の喜びのコメント、活躍を支えてくれたファンへの感謝を口にする中、新人王を争った選手への思いを語った時に声を強めた。

「同じリーグで1年間、新人として素晴らしい成績を残した選手はたくさんいる。自分が受賞して嬉しい気持ちもあるし、それと同じくらいリスペクトではないですけど……。最終的な3人に選んでもらっただけでも僕はうれしかったので。それぐらいレベルの高い場所で1年間できて良かったなと思います」

 結果的には全米野球記者協会会員30人のうち25人から1位票を集めて137ポイントを獲得。2位のアンドゥハーは89ポイントで大谷の完勝だったが、最終候補3人に入ったアンドゥハー、トーレスとハイレベルな新人王争いを繰り広げた事実に喜びを感じているようだった。

 ベーブ・ルース以来の二刀流と注目される中でのメジャー挑戦だった。「個人的に取れる技量があるか、ないかは行ってみないと分からなかったが、もちろん日本で5年間やってきた自信はありました」と言うが、渡米直後に大きな壁にぶつかった。オープン戦では思うような結果が出ず。防御率27.00、打率.125という大不振で、米メディアからは懐疑的な声も上がった。

「実際に行ってみると、すごいレベルが高かった」

「(新人王を)取りたい気持ちはあったけど、実際に行ってみると、すごいレベルが高かった。どこで何をやってきたかは本当に関係なく勝負するところだと感じた」

 日本ハムでは日本一に輝いた16年にMVPを獲得するなど実績は十分だ。当然プライドもあったが、打撃では右足を上げてタイミングを取るフォームから、開幕直前なってすり足気味のフォームに改造。過去の自分を捨てたことがシーズン中の活躍につながったという。

「自分が思っている以上に技術も進歩しているし、自分が考えていた以上に先の技術がたくさん取り入れられている。もっと自分がいい方向に変化していかないと、ついていけない部分はすごく多かった。そこを理解するまで時間がかかりましたし、できる限り自分のやり方でやっていきたい気持ちはあった。そことの葛藤はすごくあった」

 日本ハムの先輩で、野球解説者の岩本勉氏から子供たちへの大リーグのおすすめポイントを聞かれた時に、こう明かしている。
 
「レベルもすごい高いですし、国の違う選手が集まってプレーすることも違った面白さがある。僕も小さい頃からテレビで見てましたけど、実際にグラウンドに立ってプレーしていると、もっともっと感じることが多い。プレーを含めて面白さを伝えられるように頑張るのが僕の仕事。これからも頑張って、より高い舞台に行きたい」

 新人王はこれ以上ない勲章。それでも、野球人・大谷にとってはハイレベルな新人王争いを繰り広げたことが何よりの財産と言えそうだ。(Full-Count編集部)

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