【ライブレポート】再ブレイク中! ZIGGY全国ツアー『ROCK SHOW』東京公演はアグレッシヴで笑顔の絶えない極上のエンターテイメント

10月24日にニュー・アルバム『ROCK SHOW』を発表したZIGGY。この作品は、まさに森重樹一(Vo)の培ってきた“ロック”を、文字通り“ショー”のように聴かせてくれる力作となった。そして、この新作を引っさげてのツアーが現在展開中なのだが、その東京公演が11月24日に渋谷 TSUTAYA O-EAST で行なわれた。その模様をお届けしよう。

SEが流れる中、まずバンド・メンバーが登場。CHARGEEEEEE....(Ds)が満員のファンを煽り、そんな中、主役の森重が大歓声に包まれながらステージに現われる。そして、間髪置かずに叩き付けてきたのは最新作収録曲の「この夜の向こうへ」。さらに“Welcome to the ROCK SHOW!”という森重のシャウトの後、疾走感に満ちた「ROCK SHOW」、そして「その引き金を引け」、「銀のパレット」と最新作からの4曲で畳み掛けていく。

それぞれに曲調や空気感は異なる楽曲だが、どれもがZIGGY印の楽曲とも言え、ファンも手を挙げたりともに歌ったりとバンドとともに場内の気温をどんどんと上げていった。

しかし、森重のアグレッシヴさには驚かされる。全力で歌い、ステージを目一杯使って、ライブを引っ張っていく姿は、80年代と変わっていない。そして、特筆しておきたいのがバンド感だ。カトウタロウ(G)、Toshi(B)、CHARGEEEEEE...(Ds)は、すでに2年弱、ともに楽曲の制作やライブを重ねてきたから当然と言えば当然なのかもしれないが、ステージ上での押し引きなど、2018年型のZIGGYで全身全霊で表現している。また、今回のツアーは会場によって、おなじみの佐藤達哉(Kb)と今井 隼(kb)がそれぞれ担当することになっているのだが、この夜サポートを務めた今井は、ピアノやオルガン・サウンドを華麗に操り、佐藤達哉と変わらぬハデなステージングでバンドの一体感を作り上げていた。

また、メンバー紹介の時に“リハーサルではカトウタロウと今井 隼がいろいろやっている”“それをここでもやってみて”という前振りに続いて、カトウのボーカルと今井のピアノ&ボーカルでクイーンの「ラブ・オブ・マイ・ライフ」を披露したのだが、その高いボーカル力で観客を驚かせた。彼らのボーカル力が、現在のZIGGYの大きな力となっていることを付け加えておきたい。

そして、森重がアンコールのMCで話していたのだが、この夜のライブは“笑顔”もキーワードになったと思う。森重を含め、メンバー全員が実に楽しそうにロック・ショーを繰り広げ、ステージ袖のスタッフも笑顔でライブを支え、そしてもちろん満員の観客も笑顔でライブを楽しんでいる。

途中のMCでは、観客の男性率が高いこと、そして40代以上に手を挙げさせてその高齢ぶりをいじったかと思えば、森重自身が最高齢であることを自虐的に語るなど、ロック・スターらしからぬ一幕もあった。

だが、それも今のZIGGYの魅力。音楽を、ロックン・ロールをプレイすることを楽しみ、それにファンが応えてくれること。その喜びがステージ上から伝わってくるのだ。

さて、ライブ本編に話を戻そう。

このツアーは『ROCK SHOW』のリリースに伴うものということで、その最新作の楽曲が中心なのだが、当然これまでの代表曲も惜しげもなく披露していく。そこに感じられるのは、いつの時代も森重のメロディが輝いているということ。アグレッシヴなナンバーでもバラードでも、つねにメロディが輝いている。だからこそ、最新作の楽曲も80年代に発表した曲も、同じようにファンに受け入れられているのだ。そして、森重のアグレッシヴさに驚かれたと前述したが、それをあらためて証明したのがライブ本編の最後のブロックだ。

なんと、8曲をMCらしいMCを挟まずに連射。スネイク・ヒップ・シェイクス時代の楽曲もまじえ、緩急を付けつつ、まるで観客の体力をすべて奪うかのようなステージ運びは圧巻の一言だった。

しかし、ZIGGYの観客もいい意味でしぶとい。

本編終了後、すぐにアンコールの声が鳴り響く。

1回目のアンコールでは、森重がアコースティック・ギターを手に「君の笑顔より美しい花を知らない」、「STAY GOLD」の2曲を披露。

特に「君の笑顔より美しい花を知らない」のエンディングで、森重一人がステージ前に進み、オフマイクでギター1本で歌うというシーンは強く印象に残っている。

そして、2回目のアンコールでは、森重がプロレスのマスクを着けて登場し、ファンを驚かせた。どうやら、プロレス団体のドラゴンゲートの楽曲を森重が歌ったことにちなんで作られたツアー・グッズだったのだが、こうした一幕からも今のZIGGYの楽しげな空気感が感じられたのだ。

そしてそして、驚いたことに、3度目のアンコールに突入。演奏曲は日替わりで決まるとのことで、まずこの夜に選ばれたのは「EASTSIDE WEST SIDE」。近年、最速のテンポで披露されているが、今回ももちろん最速だ。

途中でCHARGEEEEEE....がドラム・セットから離れ、ステージ前方でメンバーをいじるというシーンを挟み、パンキッシュに決めてくれた。

そして、恒例の連続拳挙げを50回しようという流れになるも、森重が“段取り的にはもう1曲やったほうがいいだろ”ということで「GLORIA」がスタート。

やはり、この曲がないとZIGGYのライブは終われない。この夜、観客もいちばんの大声で歌い、バンド全員も最高のテンションでプレイ。最後に、あらためてメンバーと観客全員が50回、拳を突き上げてライブは幕を閉じた。

終わってみれば、なんと約3時間で全30曲。

30周年を機に森重一人で再始動したZIGGYだが、ムードメーカーのCHARGEEEEEE....をはじめ、一体感と高い演奏力を伴った現在の体勢は、ロック・バンドらしいロック・バンドが減ってきている2018年という時代背景を考えると、最高の形になりつつあると言えるのではないだろうか。

なお、ツアーは現在も続いていて、2019年のライブも続々と発表されている。ZIGGYの“ROCK SHOW”に、ぜひ足を運んでいただきたい。

また、2019年には結成35周年を迎えるZIGGY。そんな来年も、活発な動きを見せてくれるに違いない。そんな確信を抱かせる一夜だった。

ZIGGY『TOUR2018 ROCK SHOW』

2018年11月24日(土)TSUTAYA O-EAST

<ライブ:サポートメンバー>

カトウタロウ(G.)、Toshi(Ba.)、CHARGEEEEEE...(Dr.)、今井 隼(kb)

【セットリスト】

01. この夜の向こうへ

02. ROCK SHOW

03.その引き金を引け

04. 銀のバレット

05. CELEBRATION DAY

06. うたた寝の途中

07. 最後の声が途切れるまで

08. STEP BY STEP

09. 君をのせて

10. Jealousy

11. 時の流れる音を聞けば

12. TOKYO CITY NIGHT

13. 蒼ざめた夜

14. WONDERFUL FEELING

15. 逃避行

16. I'M JUST A ROCK'N ROLLER

17. Don’t Stop The R&R Music

18. I CANNOT GET ENOUGH

19. まだ見ぬ景色が見たくて

20. SNAKE HIP SHAKES

21. DON'T GET ME DOWN

22. La Vie en Rose

23. 踊らされたくないのなら

24. TEENAGE LUST

[ENCORE-1]

25. 君の笑顔より美しい花を知らない

26. STAY GOLD

[ENCORE-2]

27. 時空の旅

28. LET ME GO R&R

[ENCORE-3]

29. EASTSIDE WESTSIDE

30. GLORIA

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