金属行人(11月26日付)

 先日、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。イギリスの伝説的ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーの人生を描いた映画だ。タイトルは代表曲の題名である▼フレディの生きざまがよく分かる非常によい映画だった。クイーンの楽曲が散りばめられ、映画を観ながらライブを鑑賞しているような感覚となる。あまりの名曲に終盤では映画館が水を打ったように静まり返ったことにも感動した▼フレディは不世出の天才パフォーマーで、強い個性と独創性をもってメンバーを引っ張りバンドは大成功を収めたが、一方で強い孤独感にも苛まれていたようだ▼取材の中でも企業を引っ張る社長は孤独な存在だと聞いたことがある。それは会社や社員の運命を決めるような判断を毎日のように迫られ、決断に責任を負うからだろう。その発想が独創的であればあるほど理解する者よりも反対する者の方が多いはずだ▼自らが正しいと信じ、時には断行していく中で孤独を感じるのかもしれない。そのときにはよりどころとなる判断の軸が大切となる。原稿を書く中でも判断に迷ったときは、当該記事が社会や鉄鋼業界、担当する建材業界のためになるかということを考えている。

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