ThreeBond Racing 2018マカオFIA F3ワールドカップ レースレポート

FIA F3 WORLD CUP 2018
Race Report

15-18 November 2018
Race of MACAU
Circuito da Guia

 第65回マカオグランプリ・FIA-F3ワールド・カップは11月15日(木)~18日(日)、中華人民共和国マカオ特別行政区の市街地を一時的に閉鎖したギア・サーキット(一周6.120km)で28台の参加により開催された。週末を通して曇天で、金曜日夜には土砂降りの雨が降ったものの、レインタイヤの出番はなかった。
 
 なお、15日にフリー走行1回目(40分間)と予選1回目(40分間)、16日にフリー走行2回目(40分間)と予選2回目(40分間)が実施され、2回の予選を通じてベストタイムがドライバーの持ちタイムとなり、17日に実施される予選レース(10周)のスターティング・グリッドが決まる。18日に実施される決勝レース(15周)のスターティング・グリッドは、予選レースの結果によって決まる。

■公式予選

 フリー走行1回目は、各ドライバー/各チームとも基本セットアップ確認のため積極的に周回を重ねた。市街地コースを初めて走る笹原も、タイムを追うのではなく習熟を優先して周回数を重ねた。14周を走って自己ベスト・タイムは、トップと4.017秒差の2分16秒185で24番手だった。
 
 同日の予選1回目は他車のアクシデントが多発して計3回の赤旗掲示となった。セッション開始9分過ぎに山側のポリス・ベンドで続けて他車の単独事故が発生して1回目の赤旗中断、セッション残り5分弱にふたたびポリス・ベンドで他車の単独事故が発生して2回目の赤旗中断、さらにセッション終了直前にRベンド(最終コーナー)立ち上がりでまたもや他車の単独事故、赤旗中断となりセッションはそのまま終了した。

第65回マカオグランプリ FIA-F3ワールドカップ2018 記念撮影

 
 チームはフリー走行1回目のセッション途中で新品タイヤ4本を投入。しかし、タイヤのウォームアップ中に赤旗となり、ユーズドタイヤへ戻してセッション終盤を戦った。16周を消化して自己ベストタイムは、トップと5.567秒差の2分16秒571で26番手だった。
 
 16日のフリー走行2回目に向けてチームは、イニシャル・セットアップを捨てて、T-Sportと共に戦った2年前のセットアップを基本に調整を加えた。セッション開始5分過ぎ、マタニティ・ベンドで単独事故、赤旗掲示となったもののセッション終了直前だったため大きな影響はなかった。
 
 その後は前日よりも改善されたクルマで周回を重ね、15周を消化して自己ベスト・タイムは、トップと2.885秒差の2分13秒559で23番手だった。
 
 同日の予選2回目、開始10分過ぎにリスボア・ベントで2台が絡む他車の事故が発生、直後に山側のパイオールで単独事故、これにより赤旗掲示となった。セッション再開後も単独事故やスピンを喫するドライバーが目立ったものの、赤旗掲示には至らなかった。
 
 セッション残り10分でフル・コース・イエロー・フラッグとなるも残り6分で解除。しかし、山側区間のポリス・ベンドで単独事故が発生、Rベンドでは笹原はコーナーを曲がり切れず左サイドからガードレールに激しくクラッシュ。しかも、コース上に停止したマシンに、これを避けきれなかった後続のドライバーが激突。
 
 幸い、いずれのドライバーにも怪我はなかったが、マシンは大きなダメージを受け、翌日の予選レースのためメカニックたちはほぼ徹夜で修復作業にあたった。
 
 結局、笹原は14周を消化して自己ベスト・タイムは、トップと3.604秒差の2分13秒514で23番手、予選総合24番手で翌日の予選レースを24番グリッドから戦うこととなった。

■予選レース

 11月17日(土)午前に実施された予選レース(10周)、前夜に降った雨の影響で濡れた路面も残っていたが、全28台がスリックタイヤでスタート。1周目のマタニティ・ベンドで追突事故があったものの、赤旗掲示とはならずレースはそのまま進行した。
 
 3周目には山側区間のモーリッシュ・ヒルでコースに犬が進入、フル・コース・イエロー・フラッグからセーフティカー導入となる珍事があった。4周終了時点でレース再開となり、終盤にはリスボア・ベンドで単独事故が発生するも赤旗掲示には至らず、昨年のマカオGPウイナーであるダニエル・ティクトゥム(モトパーク)が予選レースを制した。
 
 前日のアクシデントの影響でマシンが決まっていなかったチームは、決勝レースへ向けたデータ収集に専念して走った結果22位でチェッカード・フラッグを受けた。

笹原右京(ThreeBond Racing)

■決勝レース

 11月18日(日)午後に実施された決勝レース(15周)は、4周目のリスボア・ベンドで発生した多重衝突事故で赤旗掲示となった。ドライバー2名を含む5人が負傷したものの、幸い命に別状はなかった。
 
 キャッチ・ネット修復などで中断時間は長引き、セーフティカー先導による競技が再開されたのは午後4時53分。最終的にはポールポジションからスタートしたティクトゥムがそのまま逃げ切り、マカオグランプリレースで2連覇を飾った。
 
 一方でスリーボンドレーシングは22番グリッドからスタート、先行するドライバーのスリップストリームを使いながら、リスボア・ベンドのブレーキング競争に持ち込んだが、目の前のドライバー数名の事故を僅かに避けきれずタイヤとサスペンションとにダメージを負った。
 
 操縦性の安定しないマシンで走行を続けたが、山側区間で壁に激突してサスペンションにダメージを負い、ピットへ戻ってそのままリタイアとなった。

笹原右京(ThreeBond Racing)

■ドライバーコメント

「カーナンバーが27という、往年の名F1ドライバー、ジル・ビルヌーブさんを象徴するゼッケンでうれしく思いました。マカオも市街地レースも初めて。いつかはマカオで走りたいと思っていたので、ようやく今回の機会を頂けてうれしいです」

「いまの時代は昔と違ってシミュレーターもあり、オンボードやデータロガーもあるので、ここに来るまで毎日、マカオのことだけを考えてきました。でも、走り出してみるとフリー走行ではクルマが跳ねるという症状が出ました」

「上位勢の速いクルマを後ろから見ていると、すごく落ち着いた挙動で走れている。自分のクルマはピーキー過ぎて、対抗するには厳しい状況で、結局最後のクラッシュでタイヤ4本を失ってしまいました」

「予選レースは厳しいけれど生き残って、日曜日の決勝レースに向けて良いデータを取ることに専念しました。決勝レースでは、無難にスタートして、マンダリンを曲がってからは前のクルマのスリップに入りました」

「リスボアでは良い争いをしていて、イン側は詰まっていたのでアウト側から攻めました。すごく攻められたかなと思ったら、前のクルマがドンドンドンとぶつかって詰まって、クラッシュしている彼らを見て右へ曲がるのは無理だと思ったので、逆方向へ避けようとしたのですが、そのときに右前輪を軽くぶつけてしまいました」

「そのときは気付かず、なんとか最後尾へ戻り走っていたけれどマシンがおかしくて、山側でコントロールを失って壁にぶつかってしまいました。いずれにせよピットには戻りましたが、チームの判断でリタイアとなりました」

「何もできず終わってしまったマカオグランプリで御支援下さった方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

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