「ありがとう、お疲れさま」県立長崎図書館休館 平和希求する長崎の象徴 106年の歩み振り返る

 建設中の長崎県立・大村市立一体型「ミライon図書館」(同市)への移転に向け、12月1日から休館する県立長崎図書館は26日、長崎市立山1丁目の同館で休館式を開いた。歴代館長、県議、関係者ら約40人が出席し、106年余りの歩みと文化の拠点としての役割を振り返った。
 同館は1912(明治45)年6月創立。現建物は被爆からの復興を目指す長崎国際文化センター建設事業の一環で60(昭和35)年に落成した。蔵書約122万冊、年間入館者約30万人。
 式で林田誠一館長は、同館の日常風景や「人生を変えた本と出合った」という高校生の声などを紹介。「(県立図書館は)原爆の惨禍から力強く立ち上がり、将来にわたっての平和を希求する長崎の象徴だった」と述べた。歴代館長を代表し96、97年度に館長を務めた渡海俊明さん(78)は「休館に当たり、胸に迫るものがある」と語った。
 同館の活動に貢献した読み聞かせの会の川口千香子会長、折り紙教室ボランティアの大西律子さん、89年から同館で営業するレストランいしだたみの坂本悦子さん(71)に感謝状を贈呈。万歳三唱し、閉会した。
 いしだたみを坂本さんと切り盛りする長女の江東愛子さん(40)は涙を浮かべ、「(図書館に贈る言葉は)ありがとう、そしてお疲れさま」と話した。
 ミライon図書館は、来年11月開館予定。現県立図書館は取り壊し、県立図書館郷土資料センター(仮称)を2021年度開館に向け整備する。

県立長崎図書館前で記念撮影する歴代館長ら=長崎市立山1丁目
県立長崎図書館の休館式で、担ってきた役割や日常の情景について述べる林田館長(左)=長崎市立山1丁目

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