住民投票の結果、兵庫県篠山市が「丹波篠山」市に変わることに…一体なぜ?今後の見通しは?

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11月18日、兵庫県篠山(ささやま)市で市名を「丹波篠山(たんばささやま)市」に変更することの是非を問う住民投票が行われました。
市名変更を推進する立場の酒井隆明市長は、3期目の任期途中で辞職し、この住民投票と同日に行われた出直し市長選挙に立候補。結果は住民投票が市名変更「賛成」が多数、酒井市長は新人候補者を退けて4期目の当選を果たし、「丹波篠山市」への市名変更は既定路線となりました。

今回はこの住民投票が実施されることになった背景や、今後の見通しについて情報を整理しながら解説します。

なぜ市名変更なのか―「丹波ブランド」の確立を目指して

旧国名の「丹波国」は、現在の京都府中部と兵庫県北東部にまたがる地域からなっていました。
おせち料理などで多用される黒豆の品種「丹波黒」や、大粒で有名な「丹波栗」など多様な農産物で古くから隣接する京を支えた歴史に裏付けられている「丹波」の知名度を元に、「丹波ブランド」を地域振興に活かそうという取り組みは、該当する福知山市、綾部市、亀岡市、南丹市、京丹波町(以上京都府)、篠山市、丹波市(以上兵庫県)の7市町により組織れた「大丹波連携推進協議会」により推進されています。
その中でも「丹波篠山」という地名は古典落語や漫画にも登場し、「美味しいものがたくさんある、そう遠くない田舎」というイメージで捉えられてきました。例えば藤子・F・不二雄のマンガ「21エモン」では主要登場人物の一人、「モンガー」はヘッコロダニ星雲タンバ星系ササヤマ星の出身と設定されており、中心都市から離れた場所として「丹波篠山」のイメージを引用しています。

篠山市は1999年に合併により、2004年に隣接する6町が合併して「丹波市」が誕生したことにより、「丹波ブランド」のイメージが丹波市に集中してしまう懸念が生じました。これをきっかけに、「丹波篠山」のブランドを確固としたものにするため、これまで市の中心の篠山口駅や丹南篠山口インターチェンジの名前を「丹波篠山」に変更する要望をしてきましたが、予算の関係で実現できませんでした。その後、思い切って市の名前を変更してしまおう、という意見が市議会で出始めます。(ちなみに、市名変更の提案を市議会で最も多く取り上げていたのが今回の市長選挙に立候補した奥土居帥心氏でした。)

今回の投票結果について―市長選と住民投票の結果をどうみるか

市名変更に賛成か反対か、の2択で問われた住民投票でしたが、篠山市の住民投票条例では投票率が50%以下の場合、住民投票は不成立とされ、開票作業が行われないことになっています。酒井市長は低投票率による住民投票の不成立を避けるため、自ら辞職して出直し選挙と同日にすることで市民の関心を集める狙いがあったようです。
ただ、酒井市長以外に候補者がいなかった場合、市長選は無投票になり住民投票への関心を薄めることになるという心配の声も上がりましたが、幸い奥土居氏が立候補して選挙は成立することになりました。
市長選挙では酒井氏が市名変更推進を訴える一方、市議会で度々市名変更を訴えてきた奥土居氏はこの選挙では賛否を明らかにせず、住民投票の結果を尊重する立場で選挙を闘いました。
結果として住民投票は投票率69.8%で成立し、賛成が13,646票、反対が10,518票。市長選挙も投票率69.8%で酒井氏が16,939票、奥土居氏が6,808票という結果になりました。住民投票の結果は賛成多数となったものの、市内で大きく賛否が別れる結果となってしまいました。丹波新聞の世論調査によると、反対の理由としては「税金のむだ」「『篠山市』を売り出すべき」「文字数が増えるなど、住所変更が嫌だ」などといった意見が挙げられています。一方で市長選挙では市名変更に反対の立場も一定程度酒井氏に投票していることが明らかになっているため、市名変更問題で二分してしまった市政の舵取りが酒井氏のリーダーシップに委ねられることになりそうです。

今後の見通しは?―実際に市名を変更するのは来年5月の見込み

市長選、住民投票後の11月22日の篠山市議会議院運営委員会では27日に臨時議会を開催することを決定しました。この議会では「丹波篠山市」に市名変更をする条例案が提出されることになっており、大半の市議会議員は市名変更について住民投票の結果を尊重するとしているため、条例案は可決する見込みとなっています。なお、市名変更は平成から次の年号に移行する当日となる2019年5月1日となる予定とされています。