終末期 患者の意思尊重を 尊厳死協会・ながさき市民講座 宮崎大病院臨床倫理部長 板井教授が講演

 「日本尊厳死協会・ながさき」の市民公開講座が25日、長崎市坂本1丁目の長崎大医学部記念講堂であり、宮崎大付属病院臨床倫理部長の板井孝壱郎教授が「最期まで自分らしく生ききるために」と題し、講演した。
 板井教授は過去の事例を挙げながら、患者本人の意思をどう尊重させるかなど終末期医療の現場で直面する課題を説明。救命措置をして病院に搬送し、延命措置をするよりも「(患者の事前の希望通り)病院に運ばない方が本人にとって幸せなこともある」と話した。
 また、宮崎市で取り組む「わたしの想(おも)いをつなぐノート」(エンディングノート)の活動も紹介。「文書だけを独り歩きさせず、患者の思いをつなぐ(地域、医療の)支援体制の構築が重要。『紙づくり』よりも『まちづくり』だ」と呼び掛けた。
 日本尊厳死協会・ながさきの現会員数は606人。講演会には医師や看護師ら医療関係者と市民ら約170人が参加した。

「大切なのは患者の思いをつなぐ支援体制だ」と話す板井教授=長崎大医学部記念講堂

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