主要鉄鋼56社の4~9月期業績ランキング、ROS首位は大和工業 7割近くが経常増益

 鉄鋼新聞社調べによる主要鉄鋼会社56社(流通企業などを除く)の2018年4~9月期(一部1~6月期)の業績ランキングがまとまった。今年度上期は鋼材需要が国内外で堅調に推移。加えて、鋼材価格の値戻しも一定程度進んだことで、鉄鋼メーカー各社は総じて好業績を維持した。ただ、平均利益率は前年同期に比べ低下。売り上げが伸びた一方、利益が伸び悩む傾向も見られた。

 56社の売上高合計は約8兆9700億円で、前年同期に比べ約6700億円増加。需要堅調に加え、鋼材価格の値戻しも売上高を押し上げた。全体の約90%に当たる50社が増収となった。

 一方、経常損益が黒字だった49社の合計利益は4875億円と前年同期比微増。増益企業(黒字転換を含む)は前年の25社から38社に増えたが、売上高が伸びた割に、利益水準は伸び悩んだ格好だ。この結果、売上高経常利益率(ROS)の平均は5・8%に低下した(前年は6・3%)。

 高炉メーカーは新日鉄住金、JFEホールディングスの大手2社が増益となった一方、神戸製鋼所は減益、日新製鋼は赤字となり、明暗を分けた。日新製鋼は7月から9月にかけて発生した豪雨、台風で設備に被害が出たことなどが響いた。

 特殊鋼・ステンレス専業は全般に苦戦。原燃料や副資材の価格上昇が影響した。普通鋼電炉メーカーも副原料や副資材の価格上昇によってコストが上昇。利益水準は全般に伸び悩んだ。

 業績ランキングを見ると、売上高の上位6社は前回(17年4~9月期)と同じ。7位以下では、トピー工業が前回の9位から7位に、共英製綱が同11位から10位に順位を上げた。

 経常利益では、高炉大手2社に次ぐ3位に日立金属が浮上。以下、大同特殊鋼、大和工業、日本製鋼所、丸一鋼管の順。

 ROS(売上高経常利益率)は、前回5位の大和工業が16・7%で1位に浮上。同社の連結経常益は海外事業の好調などを映し1・5倍に増加した。前回1位の丸一鋼管は13・5%で2位に。以下、大平洋金属、日本製鋼所、モリ工業と続く。10%超は8社(前回は9社)。全体の平均は5・8%で22社が平均値を上回った。

ROEトップは日本冶金

 ROE(株主資本純利益率=純利益を2倍にして計算)ランキング(上場企業40社)では、日本冶金工業が21・4%でトップ。19・6%の日本製鋼所がこれに続いた。3位以下は、高砂鉄工、東京製鉄(単独)、JFEホールディングスの順。ROE10%超は8社で、前回と同数だった。

 トップの日本冶金は販売増などによる本業の利益増加に加え、前年同期に計上した一過性損失の反動増で純利益は大幅に増加。ROEを押し上げた。

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