近藤與助工業、老朽鋼矢板の更新へ 高耐久部分補修工法を拡販、日鉄住金建材と共同開発

 水利施設の老朽化更新が急務だ。近藤與助工業(本社・三条市、社長・近藤雄介氏)はこのほど日鉄住金建材と老朽鋼矢板の高耐久部分補修工法を開発し、国土交通省新技術情報提供システム(NETIS)登録を受けた。次いで新潟県の新技術普及、活用制度の「Made in新潟」にも登録された。日鉄住金建材ではCABA(カバ)工法の名称で提案している。

 《軽量、工期短縮》

 新日鉄住金ステンレスのFW1(0・8ミリメートル厚)を使用した軽量ステンレス製パネルでサイズは高さ1~2メートル、有効幅630ミリメートル。1枚7・4キログラムからと人力で運搬できる軽さが大きな特徴だ。

 施工方法はいたってシンプルだ。既設鋼矢板にレール(固定治具)を溶接し、ステンレス製パネルをリベット留めし、隙間にコンクリートを打設する。

 これまでの補修はポリウレタン樹脂塗装などによる補修塗装で対応していたが、新工法は大型で軽量なパネルを使用し、工期短縮、耐久性向上によるライフサイクルコストの低減が図れる。

 近藤社長は「新規で鋼矢板打ちかえよりも安価に済む。工期も短い」とメリットを語る。

 SUS430と同等以上の耐食性を持つ省資源・高機能ステンレス鋼FW1を採用。薄く強度を持たせ、従来工法に対しコスト面でも優位性を発揮する。

 開発に当たって苦労した部分はコンクリート充填の証明だったという。昨年末、試験施工を経て登録に至った。

 近藤社長は「新潟県は最初の水利施設へ鋼矢板打設が早かった分、老朽化も早い」と強調する。当時はインフラ整備に鋼矢板が採用され、今また次世代の工法を掲げて更新に臨む。

 《特約店の役割》

 鉄鋼卸の役割を見直すきっかけに。登録準備を担当した金子拓郎企画部長は「鉄鋼卸の新たな付加価値を自問自答した。メーカーとユーザーへ情報の橋渡しを担いたい。需要家が求める工法を検討し、開発を依頼。次は情報発信の番だ。特約店の役割として情報や新工法を発信したい」と農閑期に初受注を目指す。

 瀧沢朋之日鉄住金建材新潟支店長は「排水路がターゲット。新潟はかなりの延長で更新需要を迎えており、インフラ更新に貢献したい」と語る。

 21日に新潟市の朱鷺メッセで開催された「Made in新潟」発表会では金子部長が登壇した。近藤與助工業では全社員の名刺に「Made in新潟」のロゴマークを入れ、PRする予定だ。

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