トマトやイギリスの「マーマイト」も! 世界の天然うま味食材

日本人科学者が発見した「うま味」。海外にも、昆布やかつお節のような天然のうま味食材がたくさんあります。なかには珍しいものもありますが、普段から口にしているものも。それでは早速、世界の代表的なうま味食材を見ていきましょう。

チーズ・生ハム・アンチョビなど/ヨーロッパ

世界のうま味食材は、長期保存を目的にした保存食に多く見られます。発酵や塩蔵などの過程で、熟成期間中にうま味成分のグルタミン酸などが増えることから、保存食は人間の知恵が生んだうま味食材というわけです。

熟成させることでうま味が増す、チーズに塩漬けのハム。イギリスのチェダーチーズやイタリアのパルミジャーノ・レッジャーノ、オランダのオールド・アムステルダム(長期熟成のゴーダチーズ)など、とりわけ長期熟成タイプのチーズにはうま味成分がたっぷり含まれています。またヨーロッパで広く食べられている生ハムも、ワインが進むうま味食材です。

また、カタクチイワシを塩漬けにしてオイル保存したアンチョビも、パスタや炒め物の味を格上げしてくれるうま味食材です。イタリアでは古くから、ピザのトッピングの定番でもあります。

大豆発酵食品・魚醤・エビの発酵調味料など/アジア

アジアの食卓に欠かせない、しょう油を始めとする大豆の発酵食品。中国の豆豉や豆腐を発酵させた「腐乳」、日本の味噌や納豆なども天然のうま味食材・調味料です。

また、タイのナンプラーにベトナムのニョクマムなど、エスニック料理好きにはたまらない、塩漬けの魚を発酵させた液体状の調味料「魚醤」もそのひとつ。

日本国内では、日本三大魚醤として知られるハタハタやイワシなどが原料の秋田県の「しょっつる」、するめいかの内臓を原料にした石川県のいかしょう油「いしり」、イカナゴ(小女子)を塩漬けにした香川県の「いかなごしょう油」が有名。東南アジアの魚醤とは、味も香りもだいぶ違うというから、機会があれば試してみたいものです。

このほか、フィリピン料理の味付けに使われる小エビの塩辛「バゴオン」や、マレーシアの「ブラチャン」、インドネシアの「トゥラシ」、タイの「カピ」といったエビの発酵調味料(シュリンプ・ペースト)も、炒め物や煮込み料理などの味に深みをプラスしてくれる、東南アジアのうま味食材です。

酵母ペースト/イギリス・オセアニア

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イギリス生まれの真っ黒で塩辛いペースト「マーマイト」。ビール醸造の過程でできた酵母エキスが原料の栄養価の高い食品です。うま味食材ではあるものの、好き嫌いがはっきり分かれるのがマーマイトの特徴。

酵母エキスに野菜やスパイスを加えたオセアニアバージョンが「ベジマイト」です。どちらもバターと共にトーストに塗ったり、チーズと一緒にサンドイッチにしてシンプルに食べるのが一般的。シェフのなかには、酵母ペーストを隠し味に使う人も!

トマト/世界中

南米からイタリアに渡り、彼の地で品種改良され、料理に広く使われるようになったトマト。グルタミン酸を豊富に含むトマトは、うま味成分たっぷりです。トマトは肉や魚と合わせて調理することで、うま味がアップ。トマトとチーズの組み合わせも有名ですよね。

今回ご紹介したもの以外にも、世界にはまだまだたくさんのうま味食材があります。旅行中に思いがけずおいしい食材に出合ったときには、うま味に注目してみると新たな発見があるかもしれませんね。

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