中川鋼管、大正倉庫(大阪市)が全面復旧 修繕費用1億円、効率化や環境改善も

 中川鋼管(本社・大阪市西区、社長・中川忠俊氏)は、9月の台風21号で被災した大正倉庫(大阪市大正区)が全面復旧した。屋根全体と南側・東側の壁を全面張替え、シャッターを改修した。修繕費用は1億円。また、大正倉庫の在庫の見直しや構内の安全対策強化、レイアウトの見直しによる入出荷の効率化、職場環境の改善を進めていく。中川社長は「台風の被災で大正倉庫の機能が停止し、販売先や仕入れ先、運送会社などの関係者に多大なるご迷惑をおかけした。当社にとっても想定外の損失だったが、今回の修繕を機に大正倉庫の機能を強化し、将来的には生きていくようにしたい」としている。

 同社の大正倉庫は、台風21号により南側の屋根の半分と東側の壁が吹き飛び、北側の屋根にも小さな穴が多く開いた。そこで南側の屋根はスレート屋根をすべて取り除き、ダブル折版にし、北側の屋根はカバールーフ工法で修繕した。屋根全体と東側の壁には断熱材を敷き詰めたため、真夏で4~5度、工場内の温度を下げる効果が見込まれる。

 また被災による雨濡れで一時的に販売可能な在庫量が減少したが「少ない在庫で支障はあったものの、何とかやりくりできた」(中川社長)ことから、大正倉庫の在庫アイテムを見直し、従来3千トンあった在庫を2千トンに減らす。また同時に在庫の積み高さを低くし安全対策を強化。レイアウトも見直し入出荷の効率化を図る。

 同社はSTKや角形鋼管など鋼管全般の定尺中心に月間4千~5千トン出荷している。今年10月期の業績は価格の上昇で売上高は前期を上回る65億円となった。経常利益は台風被災に伴う在庫損失8千万円と修繕費を計上したため減益となった。

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