大和合金、経営に「デザインシート」採用 10年後の姿や道のり描く

 銅合金の鋳造・鍛造品メーカーの大和合金(本社・東京都板橋区、社長・萩野源次郎氏)は内閣府製作の「経営デザインシート」を採用している。シートは経営資源やビジネスモデル、提供する価値などを見える化。将来のあるべき姿や、そこまでの道のりなどを描く内容となっている。長期戦略の策定や事業継承に貢献するもので、同社では10年後を見据えた課題解決などに役立てている。

 大和合金での採用は萩野社長がシート製作に携わったことが契機。知的財産に関する内閣府のタスクフォースに参画し「長期的な企業の繁栄には自らの価値を改めて見つめることが不可欠」(萩野社長)と結論を得たことがシート製作につながった。

 シートは事業の目的や経営方針など企業活動の根幹部分から、経営資源や事業ポートフォリオ、外部環境や課題までさまざまな項目が盛り込まれており、現在と将来のあるべき姿を分かりやすくまとめられる。

 さらに長期戦略は現在と将来を見比べ、必要な経営資源や課題解決策を書き込んで策定。今と未来、実現への道のりすべてをシート1枚で一覧できる工夫が凝らされている。

 同社ではシートを利用し10年後の2028年を見据えた戦略を立てた。海外需要やエネルギー・航空機市場の拡大が見込まれる中で多市場化への対応を経営課題に位置付け、今後は国籍を含め多様な人材の採用などで成長を目指す。

 シートは戦略策定や事業継承に加えて社員のベクトル合わせにも活用可能。萩野社長は「全社員が同じ目標に向け全力を注ぐためにも役立てたい」と期待している。シートは内閣府のサイトからダウロードできる。

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