シェアハウス「かぼちゃの馬車」の建築請負業者、(株)ホーメストが破産申請

 (株)ホーメスト(TSR企業コード:297208608、法人番号:2010401064649、中央区銀座6-2-1、設立平成18年9月22日、資本金1億円、八島睦社長)は11月27日、東京地裁に破産を申請した。申請代理人は井田大輔弁護士(赤坂総合法律事務所、港区赤坂2-17-60、電話03-3586-8211)ほか2名。
 負債総額は9億1175万円(平成30年3月期決算時点)。

 元東証1部上場で木造住宅メーカーだった殖産住宅相互(株)(現:殖産住宅(株)、TSR企業コード:290076498、法人番号:4011101043858、新宿区、平成14年1月民事再生法申請)の新築住宅ブランド「ホーメスト」事業部門が前身。同社は、テレビCM「ホーム、ホーマー、ホーメスト」のキャッチフレーズで知られていたが、民事再生の適用を申請したことで、同部門は建築リフォームの(株)ペイントハウス(現:(株)ティエムシー、TSR企業コード:360197884、多摩市、平成22年3月破産申請)に譲渡。その後、18年9月、都内の不動産関連業者がペイントハウスおよび(株)ホーメスト(現:(株)ティティオー、多摩市、平成22年3月破産申請)より事業譲渡を受け、当社が設立された。
 当初は設計施工一貫体制の家づくりを中心とした事業展開で、木造軸組工法を使った都市型住宅の施工販売をメインとしていた。近年はシェアハウス「かぼちゃの馬車」運営の(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、法人番号:4010001148478、30年4月民事再生法申請後、破産に移行)のシェアハウス物件の施工を複数手がけるなどして業績を拡大、28年3月期は売上高13億8928万円をあげた。28年10月には現社長が代表に就任し、引き続きシェアハウス物件の施工販売に注力していた。
 しかし、30年に入って表面化したスマートデイズの経営難により状況が一転。仕掛中の物件について施工契約を結んでいたシェアハウスオーナーからの建築代金が支払われなくなった。このため資金不足が生じ、取引先への支払延期を要請するなど資金不足が露呈していた。
 その後、当社はシェアハウスオーナーに対して建築代金の完済を求めて提訴。一方、オーナー側は「請負代金のうち、相当額がスマートデイズにキックバックされており、建築会社の責任も問うべき」(被害者弁護団)と主張し、動向が注目されていた。
 この間、当社の資金繰りは悪化、金融機関からの資金調達も困難となり今回の措置となった。

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