アブの傑作リール『カーディナル』 渓流ルアーマンが愛してやまない理由とは アブ・ガルシアはスウェーデンの時計職人であったカール・アウグスト・ボーストロームが創業した釣り具メーカーです。現在も数多くの釣具を開発し続け、ABU社製品の魅力に取りつかれたファンは数多くいます。今回は傑作小型スピニングリール、カーディナルについてご紹介します。

カーディナルとは

アブガルシアのカーディナルは、スピニングリールの原点とも言われるクラシックスタイルのリールです。特に3や33の数字を冠する製品は小型で、トラウト釣りの世界ではいまだに根強い人気があります。

カーディナルの歴史

アブ社製のスピニングリール「Cardinal(カーディナル)」は、1966年に製造が始まりました。日本でも大きな反響を呼んだカーディナル33は1975年に登場。その優れた機能、デザインに多くの釣り人が魅了されました。

ブームが過ぎ去ったかのように思われた90年代前後のバス釣りブーム時代。カーディナル4シリーズの復刻版とも言える44が生産され、再度カーディナルへの人気が加熱。

現在でも、愛好家は少なくなく、渓流ルアーフィッシングで多くの支持者を抱えています。

クラシックリール『カーディナル』の魅力

カーディナルのようなクラシックリールは、釣り人と魚との間に繰り広げられる闘いを機械任せなどにはせず、釣りの中に「逃がすか、釣り上げるか……!」といった熱いドラマを生み出します。

現代のリールは軽量化され、また巻き心地もよく、糸よれや故障もほとんど起こしません。しかし、そういった現代の国産リールには「魚との闘いを楽しむ」、「道具を使いこなす」といった格別の楽しみを得られるものは、なかなか見つからないでしょう。

カーディナルに搭載された渓流を制す機能美

カーディナルは現代のスピニングリールが失いつつある高い機能美を備えているリール。搭載されているスターンドラグ、インスプールを使いこなせば、現代リール以上のパフォーマンスを発揮してくれる一品です。

▼ スターンドラグ

魚が弱ったらドラグを締めて、逆に魚が引けばドラグを緩めるといったコントロールを自在に、そして瞬時に行うことを可能にしたスターンドラグ(リアドラグ)を搭載しています。

▼ インスプール

リール本体のフレームの中にスプールが埋まる構造のインスプールを搭載。これによりスプールエッジ上部と持ち手の距離が短くなり、渓流トラウトゲームでは欠かせない、フェザーリングがしやすい構造になっています。

カーディナルの種類

カーディナルの歴史は1940年から始まったと言われており、その間、様々な種類のカーディナルが製造されてきました。今回はその中でも現在も多くのアングラーに使われている代表的なカーディナルをご紹介します。

カーディナル33

カーディナル33は1975年から2年間にわたり生産され、1990年と2003年に復刻版として復活しましたが、現在は生産されていません。アブ社がアメリカのガルシア社を買収する前に作られていた製品です。重量220グラム、0.2ミリラインが200メートル巻けたようです。フェザーリングに優れたインスプールと高性能なスターンドラグを搭載しています。

カーディナル3

33に続いて1978年から1983年頃にかけて生産され、復刻版も発売されました。33も同様ですが、復刻版とオリジナル製品は別物であるという考え方が一般的のようです。重量220グラム、0.2ミリのラインが200メートル巻けたようです。スターンドラグを備え、ウォームギアを内臓しています。こちらもインスプール式となります。

現代版カーディナル

現代版カーディナルは釣りたい魚の種類によって1000番、2000番、2500番、3000番と5000番のものが販売され、それぞれ重量やラインキャパシティが異なります。1000以外は3や33と比較して重量が重くなり、ラインキャパシティの低下しているものもあります。インスタントアンチリバースも搭載したモデルになります。

カーディナルで注目を浴びよう!

今やアブ社製のように個性的で味のあるリールを探そうとすると、なかなか難しいですね。しかし、クラシックリールのもつ機能をうまく使いこなして魚を釣り上げるというのはなんともカッコいい釣り方です。通な人の目に留まり、「渋いリール使ってるね~」なんて、話しかけられることもあるかもしれません。

© 株式会社スペースキー