鷹・上林に期待かかるシーズン三塁打記録更新 今季は65年ぶりに14本マーク

ソフトバンク・上林誠知【写真:藤浦一都】

シーズン最多は1951年の金田正泰(大阪)の18本

 三塁打というリザルトは、昭和の時代に比べて減少している。NPBが2リーグに分立した1950年、1試合当たりの三塁打は0.28本だったが、2018年は0.18本になった。

 これは外野手の守備能力が向上し、連係プレーも進歩したことが大きい。また三塁コーチもアウトになった場合のダメージが大きく、打者走者に自重を促すようになっている。三塁打は選手の脚力を示す数値の一つではあるが、現代のプロ野球では俊足であってもなかなか三塁打は生まれない。今では三塁打は外野手が後逸したり、外野の間を抜けた当りが不規則にバウンドするなど、何らかの不確定要素が絡むケースが多くなった。三塁打は「狙って打つ」安打ではなくなったのだ。

 そんな中で、2018年は三塁打に関する大記録が生まれた。

 シーズン最多三塁打は、1951年、金田正泰(大阪)が記録した18。以下1953年、レインズ(阪急)の16、1950年の蔭山和夫(南海)15、1946年の鈴木清一(セネタース)の14と続くが、この記録に追いつく打者は以後、出なかった。

 シーズン13三塁打は、1940年鬼頭数雄(ライオン)、1946年金田正泰(阪神)、1948年藤村富美男(大阪)、1951年蔭山和夫(南海)、1955年C.バルボン(阪急)、1956年関口清治(西鉄)、1956年箱田淳(国鉄)、1957年毒島章一(東映)、1976年吉岡悟(太平洋)、1997年松井稼頭央(西武)、2003年村松有人(ダイエー)、2009年鉄平(楽天)、2014年西川遥輝(日本ハム)

 と12人の選手が記録。21世紀に入ってからも2人がシーズン13三塁打を打っていたが「あと1本」が出なかったのだ。

 今季、この「13本」の壁を65年ぶりに破ったのがソフトバンクの上林誠知だ。今季の上林の三塁打。()は対戦チームと球場

4/8 (楽・楽天生命)中3 2打点
4/11 (日・ヤフオクD)右3 1打点
4/28 (オ・京セラD)中3 1打点
4/30 (オ・京セラD)中3
5/4 (オ・ヤフオクD)中3 1打点
6/24 (オ・京セラD)中3 1打点
6/29 (ロ・ヤフオクD)中3 2打点
8/4 (オ・ヤフオクD)中3
8/17 (オ・京セラD)右3
8/17 (オ・京セラD)右3 1打点
9/2 (楽・楽天生命)右3
9/19 (ロ・ZOZOマリン)左3
9/20 (日・札幌D)左3 1打点
10/7 (ロ・ZOZOマリン)左3

 4月に4三塁打と幸先良いスタートを切った上林は7月を除く毎月三塁打を記録。8月17日の京セラドームでのオリックス戦では7回と9回に2打席連続三塁打を記録。9月19、20の両日は2試合連続三塁打でシーズン通算13三塁打とした。

 しかし、そこから三塁打は途絶え、上林の記録も「13」の壁に屈するかと思われたが、チームの142試合目にあたる10月7日のロッテ戦での4回に、ロッテ先発二木から左中間に三塁打を打って、歴代4位タイの14三塁打を記録した。上林の昨年の三塁打は5、キャリアでも20本だが、まだ23歳の上林には新しい時代の「三塁打王」への期待がかかるところだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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