昼間の時間が短くなり、気温が低くなってくると、冬の訪れを実感するようになりますね。これは全国的にいえることですが、日照時間の変化からでは、日本海側で暮らす人にとっては晴れ間が広がる日が少なくなること、太平洋側で暮らす人にとっては日差しに恵まれる日が多くなること、日本海側と太平洋側で大きく違います。
日照時間を過去30年(1981年から2010年)の平均でみてみると、
12月は
札幌85.9時間、釧路173.6時間
新潟60.5時間、東京178.0時間
松江84.0時間、高知192.7時間
福岡116.7時間、宮崎189.6時間
と、太平洋側は日本海側に比べて大幅に多くなっています。
新潟と東京で比べてみました。2000年以降で、新潟で12月の日照時間が最も少なかったのは2014年の27.7時間でした。晴れて1日の日照時間が8時間を超えたのは、たった1日。日差しが届かなかった日(日照時間が0.0時間)は11日でした。ひと月のおよそ3分の1が、鉛色の空の日だったのです。この年の東京の12月の日照時間は185.2時間と、新潟のおよそ7倍。1日の日照時間が8時間を超えたのは15日と、ひと月のおよそ半分で、そのうち快晴の空は8日ありました。
10月からどのように変化するかを過去30年の平均でみてみると、10月は、新潟は140.1時間、東京は131.0時間と、ほとんど変わりません。11月になると、新潟は89.9時間と急に少なくなり、東京は147.9時間と多くなります。そして12月は、新潟は60.5時間、東京は178.0時間と、その差は100時間以上です。
日本海側と太平洋側で日照時間が大きく違ってくる理由は、冬型の気圧配置が現れるようになるためです。北シベリアでは夜の時間が長くなり、地表面から熱が奪われる放射冷却現象の強まる日が多くなります。冷やされた空気は重くなり、地表付近で高気圧を形成します。
一方で、海上は大陸より冷えにくく、日本の東では低気圧が発達しやすい状況となります。こうして、日本付近は西高東低の冬型の気圧配置となり、大陸から冷たい季節風が吹くのです。
乾いた冷たい空気は、対馬暖流が流れる日本海を渡るときに下層が温められて大気の状態が不安定になります。このため、積雲が次々に発生し、この雲が日本海側の地域に流れ込みます。この風は、日本列島の背骨にあたる脊梁(せきりょう)山脈を上昇するときに雨や雪を降らせることが多く、乾いた風となって山を吹き降ります。太平洋側では雲は少なくなるのです。
お住まいの地域と違う冬の空を想像してみてください。
(気象予報士・白石圭子)