琉球人遺骨収集「盗掘」提訴へ 専門家「京大の責任重い」

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昭和初期に京都帝国大医学部の金関丈夫助教授が遺骨を持ち出した百按司墓。現在も墓にまつられた人の子孫らが拝礼に訪れる(沖縄県今帰仁村運天)

 昭和初期、京都帝国大の人類学者が沖縄県今帰仁(なきじん)村の「百按司(ももじゃな)墓」から琉球人の遺骨を持ち去ったとして、子孫らが返還を求めて京都大を訴えることになった。遺骨の一部が持ち込まれた台湾大は昨年、返還の意向を示し、アイヌ民族の遺骨返還訴訟でも北海道大が和解に応じるなど、各地で遺骨返還の動きが出ている。一方、京都大は、子孫らの問い合わせに、誠意のある返答をしていない。先住権に詳しい専門家は「違法に収集された遺骨の扱いを曖昧にしてきた大学の責任は重い」としている。

 京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関(かなせき)丈夫氏は、1929(昭和4)年に同墓での遺骨採取後、当時日本領だった台湾の台北帝国大(現台湾大)医学部教授に就任。同墓や沖縄県内で採取したとみられる頭蓋骨が持ち込まれたという。

 台湾大は昨年、沖縄県内で採取された計63個の頭蓋骨を、県に返還する申し出を行った。今帰仁村教育委員会は、今年3月に台湾大で頭蓋骨を確認。現在、村教委と沖縄県立埋蔵文化財センターが受け入れに向けた準備を進めている。

 こうした動きを受け、龍谷大の松島泰勝教授が代表を務める琉球民族遺骨返還研究会やアイヌ民族の支援団体が京都大に、遺骨の返還や遺骨の保管状況に関する文書開示を求めてきたが、京都大は「個別の収蔵状況の問い合わせには応じない」として遺骨の保管の有無などを明らかにしていない。

 北海道では、明治時代から1970年代まで研究目的で墓から持ち去られたアイヌ民族の遺骨の返還を求めて2012年以降、アイヌ団体が遺骨を保管する北海道大などに対して返還訴訟を相次いで起こした。当初返還を拒否していた北大側は和解に応じている。

 同訴訟でアイヌ団体の代理人を務め、先住民族の権利に詳しい市川守弘弁護士(札幌弁護士会)は、国内の大学が研究目的で行った遺骨の掘り出しは当時の刑法でも違法だったとし、「遺骨返還は大学や政府が長年放置してきた問題」と指摘する。大学や博物館が保管する先住民の遺骨や埋葬品を巡っては、先住民に返還される動きが世界的潮流だとした上で、「本来は裁判を起こされるのではなく、遺骨を違法に収集した大学側が自らの責任で再埋葬すべきだ」としている。