【いわき市の新病院】市民協働の体制作ろう(11月29日)

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 いわき市の新病院「市医療センター」は十二月二十五日に開院する。市総合磐城共立病院の老朽化に伴い、敷地内に建設した。利用者の声を積極的に採り入れ、優れた施設を有効に活用してほしい。

 高度な治療や先進医療の充実を図った。手術室を現在の九室から十三室に増やし、化学療法室内の治療用ベッドは九から十五に増床する。円滑な手術や抗がん剤治療の待ち時間短縮につながる。二十床の緩和ケア病棟を新設し、がん患者の憩いと相談の場となるサロンを設ける。心の支援に重きを置いた。

 浜通り唯一の救命救急センターとしての機能も高めた。広域医療への対応力強化に向け、屋上にヘリポートを造った。双葉郡など近隣地区の住民を含めた救命活動、安全安心に寄与する。集中治療室は現在の六床から十床になる。院内に救急隊員が活動する場を設けた。救命士が駐在し、出動時に医師の同乗が容易となる。連携強化により、救命士の技術向上も期待できる。

 診察の進行状況の表示を待合室だけでなく、ラウンジやレストランにも設ける。医療費計算窓口は、一カ所から科目ブロックごとの五カ所にした。病室は、中央の職員ステーションを囲むように配置した。患者と職員の動線を分離し、双方とも動きやすい。

 施設の長所を最大限に生かす人材確保が急務だ。現状、呼吸器内科や腎臓・膠原[こうげん]病科などの常勤医がいない。大学の寄付講座などで医師確保に力を入れているが、思うに任せない。公表された来春の臨床研修医内定者は、定員十二に対して七だ。看護師も不足している。施設を医学生らに公開し、見学を促すべきだ。患者に優しい施設は、働く人にとっても魅力となる。

 磐城共立病院は新病院の内覧会を開催し、二日間で約千七百人が見学した。移転直後には、施設に不慣れなことから混乱が予想される。さらに積極的に情報を提供し、スムーズな移行を望む。利用する側も、気付いた点は進言すべきだ。スタッフと患者が一緒に考えることが、より良い病院づくりにつながる。

 新病院は貯水槽や自家発電施設を備え、災害時にも医療を継続できるようにした。ところが、病棟を支える肝心の免震装置に製造業者のデータ改ざんが見つかった。国土交通省の「震度7程度の地震で倒壊する恐れはない」との判断に基づき、予定通りに開院する。地震発生時の安全確保には、細心の注意を払ってもらいたい。業者には一刻も早く基準を満たす装置への交換を求める。(鈴木俊哉)