【平成の長崎】長崎県美術館開館 芸術文化発信の拠点に 平成17(2005)年

 長崎港に臨む水辺の森公園の一角、長崎市出島町に4月23日、「呼吸する美術館」をコンセプトに長崎県美術館がオープンした。同館が世界に誇る収蔵品を披露する記念展「よみがえる須磨コレクション―スペイン美術の500年」展。こけら落としとして開館に花を添える長崎新聞社主催の第三十回記念県書道展。長崎県から内外に芸術文化を発信する一大拠点が華やかに、にぎやかにスタートの時を迎えた。

 長崎県美術館の開館記念式典は、同館エントランスロビー入り口前で、来賓や関係者ら約450人が見守る中開かれた。式典開始前には、世界初といわれる美術館のイメージ曲を、作曲者の小國雅香さんらが生演奏し、ムードを盛り上げた。

 来賓として、駐日スペイン大使の代理のキルクパトリック文化担当参事官、同館所蔵のスペイン美術作品の中核をなす「須磨コレクション」の収集者、故・須磨彌吉郎氏の長男、須磨未千秋氏、彫刻家で名誉県民の富永直樹氏らが出席した。

 金子知事が「海外との交流を重ねた港と、美しい公園に囲まれた素晴らしい環境にある美術館。街と一体になり、人々の暮らしの中に溶け込む『開かれた美術館』を目指す」とあいさつ。同館が石を使用した優秀な建築に贈られるイタリアの世界的な賞「マーブル・アーキテクチャー・アワード2005」東アジア地区の外装部門で、一等賞を受賞することを報告した。その後、来賓らがテープカットをして開館を祝った。

 伊東順二館長は「万感の思い。いよいよ呼吸を始めた美術館が、これからどうなっていくのか楽しみ。県民と一緒にこの美術館をはぐくんでいきたい」と話した。

 午後からは、一般向けのオープニングセレモニー。長崎市立諏訪小の児童約120人と金子知事、一般来場者らが声高らかにカウントダウンし、グランドオープンした。開館を心待ちにしていた県民で館外の歩道まで行列ができるほど。開館時約600人になり、一時入場規制が行われた。

 「よみがえる須磨コレクション―スペイン美術の500年」展は、6月5日まで企画展示室で開催。常設展示室では、スペインや長崎ゆかりの美術作品を展示中。いずれも常設展入場料(一般400円、大学生・七十歳以上300円、小中高生200円、県内在住の小中学生は無料)だけで観覧できる。アトリエでは、同館の教育普及事業「WOOD WORKS 遊木」展(入場無料)が5月8日まで。

 同館の営業時間は午前10時ー午後8時。第2、第4月曜日は休館(4月25日は除く)。
(平成17年4月24日付長崎新聞より)
   ◇   ◇   ◇
【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

© 株式会社長崎新聞社