奨学金返済支援、予算執行率は1% 京都府、制度改善と周知課題

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 社員が学生時代に借りた奨学金の返済を支援するとともに、中小企業の人材確保にもつなげる京都府の補助制度の利用が広がっていない。昨年8月の導入後、利用した企業は計16社、予算執行率は1%程度にとどまる。奨学金返済と中小企業の人材確保はいずれも深刻化している社会課題であり、府は「制度の潜在需要は高いはず」とみて使いやすい制度への変更や周知強化に乗り出す。

 制度は、就労・奨学金返済一体型支援事業。社員向けの奨学金返済支援制度を設けた企業に対し、企業負担分の半分(年最高9万円)を府が最長6年間補助する。例えば年間20万円の返済が必要な社員に対し、企業が府補助を含め計18万円を支給する制度を設ければ、本人は2万円を返済するだけで済むようになる。

 府は当初、奨学金を利用し府内の中小企業に就職する学生数を約1400人と推計し、17、18年度ともに1億円の予算を編成した。しかし、17年度は14社35人の利用にとどまり、予算の執行額は155万円だった。本年度も新規に申請した企業は2社のみだ。

 利用が広がらないのは、対象が府内事業所に勤務する府内居住の正社員に限定され、府外から府内企業に勤める社員に適用されない点などが企業にとって使いづらいことや、制度の周知不足があるとみられる。

 ただ、利用した企業の評価は高い。大手コンビニ向け製氷メーカー、エフケイ(千葉県酒々井町)では、京都府宇治田原町の工場で働く社員4人が利用している。企業説明会でも必ず制度を説明するという。

 織田孝志取締役管理本部長は「奨学金の返済支援まで行う企業は少なく、奨学金を借りていない学生からも『そこまで社員のためにやってくれる企業なんだ』と、好意的に受け止めてもらえ、採用にもつながっている。訴求力のある制度だ」と話す。

 日本学生支援機構によれば、17年度に新たに府内で同機構の奨学金を貸与された学生は約7万人おり、全国の大学生の半数が奨学金を受けているのが現状という。府労働・雇用政策課は「対象の拡大など、使い勝手の良い制度に見直し、若者と中小企業支援につなげたい」としている。府はホームページで、制度の内容や導入企業を紹介している。