JFE建材が共同開発の大口径用立坑「アーバンウォール」都内で初採用 狭隘地でも急速施工

 JFE建材(社長・久保亮二氏)が展開する大口径用立坑「アーバンウォール」がこのほど、都内の工事で2リング採用されることとなった。JFEスチール及び加藤建設と共同で開発した合成構造セグメントケーソン工法で、実現すれば今回が初採用となる。今年度内にも施工法の検証が行われる予定で、同社では本受注を機に採用拡大へ弾みをつけたい考え。

 本工法は直径30メートルを超える大口径で深度100メートルの大深度立坑をコンパクトかつ急速施工できる。都市型圧入ケーソン工法「アーバンリング工法」の有する狭隘地、急速施工の特長を生かしながら直径~50メートル級、最大適用深度100メートル級の大口径・大深度構造への適用を実現するため、鋼製リングを2重構造として現地で組み立てた後、鋼製リング間にコンクリートを充填する合成構造を採用。底スラブ部の側壁厚さを段階的に変化させることでフープテンションの発生を抑制している。

 刃口部の土砂は刃口先端部の鋭角な形状に沿って掘削されるため、クラムシェルにより排土が可能となっている。また、鋼製リング間相互の接合には高耐力と工期短縮を実現する差込継手および直線矢板継手を初採用することで、現地組立工期を短縮するとともに構造体の耐震性向上を図った。直線部分でも十分な強度を有し、円形のみならず小判形など目的や現場に応じた施工が可能だ。

 同社は「アーバンリング工法」を91年に開発。98年には国土開発技術研究センターから技術審査証明を取得し、狭隘地や他構造物に近接する都市部の施工環境下を中心にこれまで369基、43万平方メートルの実績がある。「アーバンウォール」はこれを応用したもので、今後、地下化が進められている都市部での鉄道、道路、河川・下水事業での採用を目指し技術提案活動を積極的に進めていく方針。

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