鹿島建設が国内初適用、超高強度繊維補強コンクリート道路橋床版

 鹿島建設はこのほど、阪神高速道路と共同開発した「超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版」を阪神高速道路15号堺線の玉出入路リニューアル工事に国内初適用し、供用を開始した。今後、本工事で得られたUFC床版の製作及び施工に関する知見を生かし、リニューアル工事への実用化に向けた検討を進めさらなる技術向上を図っていく方針。

 UFCは水結合材比が15%程度、圧縮強度が150N/平方ミリメートル以上と極めて緻密な鋼繊維補強コンクリート。超高強度と高耐久性を有する。既設RC床版の厚さ180ミリメートルに対し現行基準にしたがった標準的な取替え用PC床版の厚さは250ミリメートルと厚くなるが、150ミリメートルまでの薄肉化が可能となり、床版取替えに伴う道路面の高さの変更を行わなくて済む。

 また、既設RC床版の重さを100とした場合に標準的な取替え用床版の重量比は140となるが、UFC床版は80と軽量となるため、床版を支える鋼桁の補強をすくなくすることができる。さらに、平板型UFC床版の設置ではPC鋼材の緊張作業をスパン中央部の床版下部から二方向に行う新たな工法を採用。これはUFCの優れた材料特性を生かし定着構造をコンパクト化することで可能になったもので、継ぎ目のないオールプレキャスト化によりさらなる耐久性の向上を図ることができる。

 今回の工事では橋軸方向に移動するコンパクトな専用架設機を開発し適用。高速道路本線と側道に挟まれた斜路での施工で狭隘なヤード内の作業だったが、床版の荷受けや運搬、据付けにクレーンを用いる一般的な作業方法に比べクレーンの旋回による本線通行車両の規制などが不要となり、高い効率に加えて安全な床版架設を実現した。今後は今回適用した平板型のみならず部材厚を最小化し床版の重量を鋼床版とほぼ同等まで軽量化したワッフル型も併せて普及拡大を図っていく方針。

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