大阪チタニウムテクノロジーズ、ポリシリコン事業から撤退

 大阪チタニウムテクノロジーズは28日、ポリシリコン事業から撤退すると発表した。2018年12月下旬に製造を終了する。

 半導体向けポリシリコンの世界的な需給ギャップが解消されず事業継続が困難な販売環境が続くと判断。ユーザーの品質要求の高度化に対応するための大型設備投資も難しいことから事業撤退を決めた。主要顧客のSUMUCOとの長期売買契約は中途解約し、事業撤退損失などを計上することから19年3月期の単独純損益は赤字に転落する。

 大チタは1960年にポリシリコンの生産を開始し、主力のチタン事業と並ぶ経営の柱として、極めて高い純度が必要な半導体用ポリシリコンを製造・販売してきた。

 大チタのポリシリコン製造能力は年3千トンで世界シェアは10%。同日都内で会見した杉崎康昭社長は「海外より電力価格が高いことも撤退の一因」と指摘。「今後は成長が期待できるチタン、高機能材料の2事業に集中する」と述べ、航空機向けスポンジチタンの生産能力増強などに経営資源を再配分していく方針を示した。

 2018年3月期のポリシリコン事業の売上高は106億2600万円、営業利益は8400万円だった。それぞれ全体の24・5%、2・5%を占める。直近ピークの12年3月期はそれぞれ235億円、39億円だった。

 製造拠点の岸和田製造所(大阪府岸和田市)では今年末にポリシリコン製造を終了し、加工・検査を経て19年3月末までに主要顧客に製品出荷を終える。その後、工場設備の撤去を1年半程度かけて進める見通し。ポリシリコン事業の人員はチタン事業などへの配置転換で対応する。

 主要顧客のSUMUCOとの品質向上に向けた協議のなかで、要求される品質向上のための設備投資が事業規模と比べて難しいと判断。この協議のなかで同社との長期売買契約を解約する結論に至った。

 大チタは同日、ポリシリコン事業撤退を踏まえ、19年3月期の単独業績予想を修正した。特別損失として127億円の事業撤退損失を、特別利益としてSUMUCOからの長期売買契約解約に伴う解約金100億円をそれぞれ計上。結果として純損益は15億円の赤字に転落する。前回予想は8億円の黒字だった。修正後の売上高、経常利益は426億円、19億円。前回予想からそれぞれ20億円、2億円の減少となる。

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