ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズ 2018第6大会バレルンガ/ワールドファイナル レースレポート

ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア、アミチ/ヤノスがバレルンガでチャンピオンの栄冠をつかむ

・シーズンフィナーレを終え、バーソロミュー/プルが2位に入りFFFレーシング・チーム・バイACMがワン・ツー・フィニッシュ・バレルンガではコッツォリーノ/ヤジドが2勝・シリーズ優勝PRO-AMはエスケリネン/プハッカ、AMはブンチャロエン、ランボルギーニ・カップはウォン

【イタリア、バレルンガ(2018年11月18日)】
2018年ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアシリーズのPROクラスは、アンドレア・アミチとアルトゥール・ヤノスが栄冠を勝ち取りました。FFFレーシング・チーム・バイACMは、外観が一部異なるクルマのジャック・バーソロミュー/ジェームズ・プルがチャンピオンシップ2位に入り、チームタイトルも獲得しました。

 一方、PRO-AMのタイトル争いを制したのは、ライパート・モータースポーツのミコ・エスケリネンとユーソ・プハッカ。AMはトゥルーヴィジョンズ・モータースポーツ・タイランドのボビー・ブンチャロエン、ランボルギーニ・カップは852チャレンジャーズのポール・ウォンがそれぞれタイトルを獲得しました。
 
 アジア各地で5つのレース後、チャンピオンシップを賭けた戦いは2018年シーズン最終の開催地であるイタリアへと向かいました。アジア・シリーズ最終戦は、週末開催のランボルギーニ・スーパートロフェオ・ワールドファイナルを前に、2戦とも金曜日に行われました。ランボルギーニ・スーパートロフェオUSAも同日開催で、そうそうたる顔ぶれが数多くの戦いを繰り広げました。
 
 タイトルを勝ち取ったのはアミチ/ヤノス組でしたが、バレルンガで2戦ともトップを飾ったのはクラッツィオ・レーシングのケイ・コッツォリーノとアフィク・ヤジドでした。2017年PROクラス優勝の2人は、今シーズンは途中からの参戦で、ライパート・モータースポーツのベン・ゲルセコウスキーに次ぐシリーズPRO4位となりました。
 
 第1レースは、コッツォリーノがポールポジションで脇にマスカットを従え、セカンドローにプルとホージャスト・レーシングの松本武士が並びスタートしました。コッツォリーノは快調な滑り出しで、後続との間を開けます。グリッド後方からは、フリープラクティスでのハプニングが原因で予選を見送らざるを得なかったアミチがじわじわと浮上し、1周目が終わる頃には6番手に。コッツォリーノがさらに後続を突き放していく中、マスカットとプルの2位争いが激しさを増します。
 
 ピットウインドウが閉じた後も、コッツォリーノと交代したヤジドが先頭を走りつづけ、フィニッシュまでには2位との差を13秒以上に広げました。レース終盤、2番手を走っていたゲルセコウスキーがリタイアを余儀なくされ、219号車のバーソロミューが2位、ヤノスが3位に繰り上がりました。PRO-AMのトップは総合4位に入ったエスケリネン/プハッカ。ランボルギーニ・カップはYHレーシングの松田貴道/吉原大二郎がGDLレーシング・チームのガブリエル・ムローニを制して勝ち取りました。
 
 シーズン最後のレースは、ヤジドがポールポジションからスタートし、後にプハッカ、ガマ・レーシングのエバン・チェン、ゲルセコウスキーと続きます。最終的にはヤジド/コッツォリーノがゲルセコウスキー/マスカットと2.916秒差でチェッカーフラッグを駆け抜け、シーズン5勝目を挙げました。松本/落合はPRO-AM優勝でシーズンを終え、激しい競争が繰り広げられたランボルギーニ・カップは、ムローニが2位の松田/吉原、3位のウォンを抑えて優勝しました。
 
 ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアのシーズンが終了し、次なる注目はアジア、北米、ヨーロッパの各シリーズのドライバーとチームが競う、興奮のワールドファイナルに集まりました。

ランボルギーニ・ワールドファイナルがバレルンガ・サーキットで開幕、初戦の勝者出揃う

【サンターガタ・ボロネーゼ/ローマ(2018年11月17日)】
 第6回ランボルギーニ・ワールドファイナルがバレルンガ・サーキットにて開幕し、初戦4レースの勝者が出揃いました。本シリーズには、サンターガタ・ボロネーゼを本拠地とするランボルギーニ車両のみ参加が認められており、三大陸シリーズ最終戦が開催されていたローマのサーキットに、主役が戻って来ました。
 
 PROクラスでは、クラッツィオ・レーシングチームのアジア人ドライバー、ケイ・コッツォリーノとアフィック・ヤジドが勝利。ロリス・スピネッリとJCペレス(P1モータースポーツ)が、ヨーロッパおよび北米タイトル獲得に続いてPRO-AMクラスを制しました。ライアン・ハードウィックおよびジャスティン・プライス(ドリーム・レーシング・モータースポーツ)がそれぞれAMクラスとランボルギーニ・カップの勝者となりました。
 
 PROおよびPRO-AMクラスでは活気あるレースが展開され、ヨーロッパ・チャンピオンであるジャコモ・アルト(アントネッリ・モータースポーツ)がポールポジションからスタートし、ピットストップまでリードを続けました。しかしながら、ピットストップにおける反則により、チームメイトであるダニエル・ザンピエリにドライブスルーペナルティが科される結果に。ザンピエリには、イエローフラッグ提示中の追い越しによって、20秒のペナルティも科されました。
 
 ジェームズ・プル(ボナルディ・モータースポーツ)を引き継いだケルヴィン・スノークスも、ドライブスルーペナルティを科され、ブラックフラッグが振られました。こうした予想外の出来事が起こるなかで、ケイ・コッツォリーノとアフィック・ヤジド(クラッツィオ・レーシング)が勝利を収めました。2位はライパート・モータースポーツのドライバー、ベン・ゲルセコウスキーとリチャード・マスカットであり、チームメイトであるニールス・ラグランジュとフレデリック・シャンドルフに先立ってゴールしました。
 
 PRO-AMクラスでは、JCペレスとロリス・スピネッリが勝利を重ねました。P1モータースポーツの2人は、最高のスタートを切りました。すぐ背後には、ロレンツォ・ボンテンペッリとエマヌエーレ・サンスィニィが、最初の接触の後、アイロン・リンクスチームの車両によって2位につけ、フィンランドのミッコ・エスケリネンとユッソ・ブハッカ(ライパート・モータースポーツ)に先立ってゴールしました。アンドレイ・ルワンドウスキは、VSレーシングカーをエドアルド・リベラティ(Q1最速であるPRO-AMクラスのドライバー)から引き継ぎましたが、接触によって退場となりました。

第6回ランボルギーニ・ワールドファイナル レース1 スタートシーン

 第1戦では、AMクラスおよびランボルギーニ・カップにおいて、ドリーム・レーシング・モータースポーツのドライバーが勝利を収めました。ポールポジションからスタートしたドア・モータースポーツチームに所属するドイツ人ドライバーのマニュエル・ラウクがリードし、フロリアン・ショルツェに引き継ぎました。
 
 ショルツェは残り2周となるまでリードを守りましたが、カーブでライアン・ハードウィックに追い越され、ハードウィックが勝利。ラファエル・ジャノーニは、オートモビル・トリコロール車両で予選2位でしたが、ピットストップ後に後退して3位。クリストファー・ブリュック(コンラッド・モータースポーツ)は、4位で走行中にリタイア。ダヴィデ・ローダは、8位から追い上げ、最終的に5位となったカナダのデイモン・オッキー(USレーストロニクス)と競り合いました。
 
 ランボルギーニ・カップでは、ジャスティン・プライスが勝利しました。2位はフランスのジョセフ・コリャード(AGSイベンツ)、3位はヨーロッパ・チャンピオンのジェラルド・バン・デル・ホルストでした。同じアメリカのブレット・メレディス(P1モータースポーツ)は、不運なことに、Q1で最速のラップタイムを記録し、残り2周となるまでレースをリードするも、そこでレース終了となりました。

■ドライバーのコメント

ケイ・コッツォリーノ/クラッツィオ・レーシング(PROクラス首位)
「素晴らしいレースでした。最初、アルトを追い越そうとしましたが、トラックの荒れた部分を走っていたので、あきらめて後を追うしかありませんでした。ペースも良かったのかもしれません。最後にはヤジッドが立派に役割を果たし、勝利を手にできました」

ロリス・スピネッリ/P1モータースポーツ(PRO-AMクラス首位)
「スタートが非常に良かったです。リベラティが追い上げていたこともあってかなり慎重でした。そしてドライバー交代の際、5秒のロスがあり、ペレスが走り始めたときは2位でした。このクラスで勝てたことは嬉しいです」

ライアン・ハードウィック/ドリーム・レーシング・モータースポーツ(AMクラス首位)
「本当にうれしいです。勝てると思っていました。年間を通じて、チームは私に素晴らしい車両を与えてくれました」

ジャスティン・プライス/ドリーム・レーシング・モータースポーツ(ランボルギーニ・カップ首位)
「この上なく興奮しています。ワールドファイナルでの勝利は初めてです。私にとって初めてのカーレース・シーズンであり、ここバレルンガ・サーキットも初めてです」

バレルンガ・サーキットにおけるランボルギーニ・ワールドファイナルの大きな成功

【サンターガタ・ボロニェーゼ/ローマ、2018年11月18日】
 2018年のシーズンは、ローマのサーキットで開催された第6回ワールドファイナルをもって終了しました。興奮に満ちた最終戦を終え、アントネッリ・モータースポーツチームのジャコモ・アルトとダニエル・ザンピエリがPROクラスの世界チャンピオンになりました。アルトにとっては、ヨーロッパシリーズに続いて2つ目のタイトル獲得となり、アントネッリ・モータースポーツのウラカンGT3で参戦し、ザンピエリとともにイタリアン・グランツーリスモでもチャンピオンとなっていたため、1カ月で3つ目のタイトルを獲得しました。
 
 PRO-AMクラスでは、P1モータースポーツのフアン・ペレスとロリス・スピネッリが、3つのタイトルを獲得し、ヨーロッパおよび北米チャンピオンとなりました。ライアン・ハードウィック(ドリーム・レーシング・モータースポーツ)は、ランボルギーニ・スーパートロフェオ・北米シリーズにおいてAMクラスのチャンピオンとなった後、今回も同タイトルを制覇し、2度目の勝利。最後に、ランボルギーニ・カップでは、AGSイベンツのフランス人、ジョセフ・コリャードが初タイトルを獲得しました。
 
 ダニエル・ザンピエリとジャコモ・アルトは完璧なレース運びで第2戦を制し、PROタイトルを手にしました。ポールポジションのデニス・リンドと並んでスタートした後、ザンピエリがリードし、レース前の第1部でセーフティーカーがコース外に退いた後、ピットストップまで首位を守りました。一方、アルトは集中力を切らさず、最後まで首位を走りました。土曜日の第1戦に勝利したものの、ケイ・コッツォリーノとアフィック・ヤジド(クラッツィオ・レーシング)はトップ10から外れました。
 
 スタート段階での反則に対して、ライパート・モータースポーツのドライバー、ニールス・ラグランジュとフレデリック・シャンドルフに科されたペナルティも決定的でした。これにより、2人は3位を奪われました。今シーズンの全体成績で最後に表彰台に上がったのは、2位となったジェームズ・プルとケルヴィン・スノークス(ボナルディ・モータースポーツ)、そしてアジアシリーズチャンピオンのアンドレア・アミチとアルトゥール・ヤノス(FFFレーシング・チーム・バイACM)でした。
 
 JCペレスとロリス・スピネッリがPRO-AMクラスのタイトルを得られたのは、1点に尽きます。土曜日に第1戦を制したこのP1モータースポーツの2人は、首位のデニス・リンドとサイモン・ラーション(ターゲット・レーシング)、2位のエマヌエーレ・サンスィニィとロレンツォ・ボンテンペッリから成るアイロン・リンクスのペアに続けば3位でゴールできるはずでした。

 ライアン・ハードウィックにとっては、バレルンガ・サーキットにおいて勝利を収めた週末でした。ドリーム・レーシング・モータースポーツのドライバーであるハードウィックは、ランボルギーニのコルソ・ピロタで最初の経験を積んでおり、AMクラスで北米シリーズのチャンピオン後、今回も同クラスでタイトルを獲得しました。ドア・モータースポーツのドライバー、マニュエル・ラウクとフロリアン・ショルツェ(同点2位)と同点であったため、土曜日の第1戦における勝利が決定的な要素となりました。

第6回ランボルギーニ・ワールドファイナル レース2 スタートシーン

 
 第2戦では、デイモン・オッキーがポールポジションからスタートしました。USレーストロニクスのカナダ人ドライバーであるオッキーは、ピットストップまで首位を守り、トラックに戻っても、セーフティーカーが2回コースを走ったにもかかわらず、最後までリードを続けました。ラウクとショルツェとともに表彰台に上がったのは3位のハードウィックであり、ダヴィデ・ローダ(アントネッリ・モータースポーツ)およびシア・ホルブルックとマーティン・バーキーのPPMペアの上に立ちました。
 
 ヨーロッパシリーズの時点で傑出していたジョセフ・コリャードは、ランボルギーニ・カップを制し、タイトルを獲得しました。コリャードはAGSイベンツのフランス人ドライバーであり、土曜日は2位でしたが、アメリカ人のブレット・メレディスに科されたペナルティを利用する形となりました。P1モータースポーツのドライバーであるメレディスは、リードしていたものの、ピットでの最低停止時間を守らず30秒のペナルティを科されました。
 
 2位はQ2におけるクラス最速のドライバーである吉原大二郎と松田貴道(YHレーシングチーム)でした。GDLレーシングの車両を使用したガブリエル・ムローニも表彰台に上がりました。第1戦の勝者ジャスティン・プライスは、序盤でスピンした際に後れを取り、5位に終わりました。
 
 第7回ランボルギーニ・ワールドファイナルは、2019年10月24~27日、スペインのヘレス・デ・ラ・フロンテーラにあるサーキットで開催されます。
 

■チャンピオンのコメント

ジャコモ・アルト/アントネッリ・モータースポーツ(ダニエル・ザンピエリとともにPROチャンピオン)
「今年は非常に特別な年でした。本当に、喜びを表現する言葉が見つかりません。今日は、誰よりも先にゴールすることだけに集中しました。アントネッリ・モータースポーツと、いつも貴重なアドバイスをくれたダニエル(ザンピエリ)にお礼を言いたいと思います」

ロリス・スピネッリ/P1モータースポーツ(フアン・ペレスとともにPRO-AMクラスチャンピオン)
「2回目は、車両が序盤の接触で損傷していたのですが、ずっと順位を上げようとして、全力を挙げて走っていました。このタイトルを本当に獲得したかったので、非常に興奮しています」

ライアン・ハードウィック/ドリーム・レーシング・モータースポーツ(AMクラスチャンピオン)
「最高の週末でした。今日のレースは非常に激戦でした。ラウクとショルツェはとても速かったのですが、3位でゴールすることに集中しなければならないと思い、実際そうしました」

ジョセフ・コリャード/AGSイベンツ(ランボルギーニ・カップチャンピオン)
「予選では少し遅れを取りましたが、両レースでは異なる結果となりました。今日は素晴らしいスタートを切りました。すぐに順位をいくつか上げ、常に非常に速いペースで走ったことがこの勝利につながりました」

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