地域環境にも優しく

 持続可能で地球環境に優しい発電手段として、各地で大規模太陽光発電所(メガソーラー)や風力発電の設置が増えている。だが、足元の自然環境との関わりでは問題を指摘されるケースが後を絶たない▲その一例が、佐賀との県境にそびえる佐世保市の国見山山麓に計画されている風力発電施設。自然環境や景観への影響が大きいと、地元住民などから反対の声が上がっている▲予定地は佐賀県内だが、高さ100メートルを超える風車群が設置されれば本県側からもよく見える。ふるさとの山の景色が大きく変わることに抵抗を覚える住民がいても無理はない▲国見山はアカハラダカなどの渡りルートだ。山沿いの上昇気流に乗って飛ぶ野鳥が風車を避けられず衝突死してしまう危険がある。関連工事で本県側の樹木が伐採され、動植物の生息生育に影響を与える可能性もある▲風力発電のような再生可能エネルギーは、福島第1原発事故の後、特に注目されるようになった。環境との共生をうたう新規事業者が次々と参入している▲大規模な施設建設に当たっては、環境アセスメントの手続きが課せられている。幅広い意見を聴きながら計画の妥当性を慎重に判断して結論を出す必要があるだろう。地球環境に優しいと同時に、地域の自然環境にも優しくありたい。(泉)

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