長崎市在住の岡野雄一さん(68)の漫画が原作の映画「ペコロスの母に会いに行く」で初主演した赤木春恵さんは、岡野さんの母、光江さん(2014年死去)がモデルの認知症の母親役を演じた。映画は、母と息子のやりとりを通して介護の哀歓を描き、同時に厳しい戦後を生き抜いた女性たちの波乱の半生をたどる物語。長崎市内でもロケが行われ、赤木さん演じる母親が、ランタンフェスティバルに出掛け、家族とはぐれて眼鏡橋を歩き回るシーンなどが撮影された。
長崎県内の映画関係者らも別れを惜しんだ。長崎ロケなどで赤木さんと接した岡野さんは「とても温かい方だった。ランタンフェスのシーンを撮影した日はとても寒い日で、赤木さんは、監督やスタッフだけでなく、見ていただけの僕にも手袋をくださった。演じてもらったことも含め、ありがとうございましたという気持ち。天国で母と会い、おでこをくっつけ合っているんじゃないかと思う」と語った。
ロケ地選定などを受け持った長崎県フィルムコミッションの横山亜津子さん(33)は「とても残念に思う。長崎市内の坂の上で撮影をしていた時、車いすを運ぶスタッフへ感謝の言葉を掛けていた。気配りを忘れない、優しくて愛される人だった」としのんだ。