【MLB】インディアンス右腕、自らの市場価値を熱弁「僕をトレードするなら2020年」

インディアンスのトレバー・バウアー【写真:Getty Images】

MLB公式の番組に出演してコメント「今シーズンは剰余価値が高すぎる」

 インディアンスの先発右腕、トレバー・バウアー投手が、自らの“市場価値”について熱弁をふるった。

 MLB公式サイトの記事によると、MLB公式配信番組「MLBネットワーク」のオフシーズン情報番組「ホット・ストーブ」に出演したバウアーは、「USAトゥデー」紙のボブ・ナイチンゲール記者がツイッターで「インディアンスはコーリー・クルーバー、カルロス・カラスコの両投手よりも、バウアーをトレードに出したがっている」と投稿したことについてコメント。「インディアンスが僕をトレードするべきではないと自分でも思える理由がたくさんある。今シーズンの僕に対する剰余価値はあまりにも高すぎたね」と話した。

 バウアーは今シーズン、インディアンスの先発投手陣の柱として、12勝6敗、防御率2.21、221奪三振、WHIP(1イニングあたりの四球+安打)1.09を記録。特に奪三振はキャリアハイを記録し、ローテーションを支えた。カラスコ(17勝10敗、防御率3.38、231奪三振、WHIP1.13)、クルーバー(20勝7敗、防御率2.89、222奪三振、WHIP0.99)といずれ劣らぬ好成績だが、バウアーの今季年俸は652万5000ドル(約7億3080万円)。メジャーの一流先発投手としては“格安”だ。

 そして記事では、野球選手としての総合指標「WAR」をもとに、この3人の「剰余価値」を算出している。「剰余価値」とはもともとマルクス経済学の概念で、生活に必要な労働を超えた労働を言う。つまり、支払われた給料を超えて働いた分の労働のことだ。それによると、この3人の剰余価値は

バウアー 4837万5000ドル(約54億680万円)
クルーバー 4240万ドル(約47億4880万円)
カラスコ 3970万ドル(約44億4640万円)

となり、バウアーはもっとも「年俸を超えた価値を生み出した投手」となる。

売り時は2020年「見返りにプロスペクトを獲得することが理にかなっている」

 しかも、バウアーは来季28歳。クルーバーが来季33歳、カラスコが32歳と、キャリアの下り坂にさしかかっていくことを考えると、バウアーがもっともコストパフォーマンスに優れた“お得”な選手という結論が導き出される。

 バウアーは2020年がフリーエージェント(FA)になる前の年俸調停の最終年となる。「2020年に僕の年俸は2000万ドル(約22億4000万円)ぐらいまで上昇しているとしたら、僕の剰余価値はさほど高くはないだろうね。その時、球団はFAになった僕と契約する可能性は高くないと思う。1年契約だったとしてもね。だから、そこで僕をトレードして、見返りに何人かのプロスペクトを獲得することが理にかなっていると思うよ」とバウアーは話し、自分をトレードするなら2年後が一番いいタイミングではないかとしている。

 もちろん、故障などの不確定要素もあり、バウアーの考えるような将来が待っているかどうかは未知数だが、チーム編成において「駒」として扱われる選手が、自分の市場価値とトレードの時期をアピールするというのも珍しい話。それも、自ら残した結果に自信を持っているからだろうが、球団も選手もビジネスとして動いているMLBの世界を象徴するようなバウアーの発言だった。(Full-Count編集部)

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