「第五高島丸」廃業へ 燃油高騰、運搬量減が経営圧迫 個人経営には限界 島民に「ごめん」と言いたい

 長崎市本土と同市高島町を結ぶ貨物船「第五高島丸」(総トン数12トン)が、来年3月末に廃業することが分かった。約50年間、酒類や大型物資などの輸送を担ってきたが、燃油価格の高騰や運搬量の激減などが経営を圧迫し、事業者が運航を続けられなくなった。島の輸送手段が一つ消えることとなり、長年利用してきた業者や島民は肩を落とし、他の輸送手段を探している。
 市都市計画課によると、高島に定期貨物運航しているのは、高島丸のほかに高島と伊王島を結ぶ崎永海運の計2社のみ。現在、崎永海運は週2回1日2往復、高島丸は週6回1日1往復運航している。市は「島民の生活に大きな影響が出ないよう、これまで高島丸で運んできた物品を別の貨物船などで輸送できないか打診している」としている。
 高島丸の3代目経営者・竹平大介さん(43)=同市高浜町=によると、高島丸は1969年に就航し、3世代にわたって家族で荷物を運搬してきた。炭鉱の島として日本の近代化を支えた高島。86年の高島炭鉱閉山直後の人口は約5500人で、高島丸は1日2往復でもあふれるほどの荷物量だったという。
 だが今年9月末現在、364人まで人口は激減。兄の幸喜さん(44)と2人で運航し、1日1往復でも荷物は満杯にはならない状態だという。今年に入り、竹平さんは近年の燃油高騰や利用客の減少の影響で赤字経営が続いたため廃業を決めた。
 長年、取引があった高島町の業者は「ほぼ毎日高島に来てくれて、助かっていた。荷物の大きさは関係なく運んでくれて利用しやすかった」と肩を落とした。島民の1人は「島の大事なインフラがなくなるのは寂しい」と語った。
 竹平さんは「継続したいが、個人経営には限界がある」と明かし、島民に対して「(この仕事に)骨を埋められなくて、ごめん、と言いたい」と話した。

来年3月末に廃業する貨物船「第五高島丸」=長崎市、常盤桟橋

© 株式会社長崎新聞社