インターン経て12年、MLBへ Field of Dreams~ベースボールへの挑戦者たち Vol.6

By Yukiko Sumi

ロサンゼルス・ドジャース/アシスタント・アスレチックトレーナー兼マニュアルセラピスト

中島“Possum”陽介さん(2/2)

 「それまでは存在も知らなかった」というNATA(NationalAthletic Trainers’ Association、全米アスレチックトレーナー協会)公認アスレチックトレーナーを目指し、ロングビーチ州立大学大学院で勉強を始めた中島陽介さん。2003年にマイナーリーグ春季キャンプで、同年から翌2004年にはロサンゼルス・ドジャースでインターンアスレチックトレーナーとして修行を積んだ。

 2005年にルーキーリーグのアスレチックトレーナーとして採用されると、1Aから3Aまでを経て、2013年にはWBC(World BaseballClassic、ワールド・ベースボール・クラシック)イタリア代表のアスレチックトレーナーを務めるまでになった。そして2015年シーズン、ついに念願のMLBへ到達した。ドジャースのアシスタント・アスレチックトレーナー兼マニュアルスペシャリストとして正式採用されたのである。

2015年からLAドジャースのアシスタント・アスレチックトレーナーとなった。試合中は常にベンチに入り、選手の身体のケアをする

 一歩一歩、少しずつだが着実にキャリアを積み上げてきた。マイナーリーグ時代には、チーム内で起こった乱闘の際に耳を噛みちぎられた選手の耳の一部をケアするなど、通常起こり得ないようなことも体験。遠征では15時間のバス移動や早朝4時起きの飛行機による移動後、当日夜に試合など、ハードな生活が続くこともあった。しかし、トレーナーを目指す転機となったビューラー氏や、「純粋に野球が好きな方で勇気づけられた」という野茂英雄選手など、人生の宝となる出会いもあった。

 「シーズン最後の試合に勝つということがチームのゴールなので、主に選手の健康管理を中心に、常にどうすればゴールにたどり着くことができるかをチーム全体で考えることは、とてもやりがいがある」という。これまで築き上げてきたものが固まり、形になりだした今、チームへの思い入れは深い。目指すのは「ドジャースでのワールドシリーズ優勝」だ。

■Yosuke “Possum” Nakajima
神奈川県横浜市生まれ。県立高校卒業後、浪人を経て都内の私立大学に入学。物理学者になることを夢見たが、レベルの高い野球を学びたいと思うようになり、卒業後に渡米した。ロングビーチ州立大学野球部でアメリカの野球を学ぶうちにNATA公認アスレチックトレーナーの存在を知り、同大学大学院で授業を受けながら勉強を開始。インターンを経て2015年シーズンからロサンゼルス・ドジャースのアシスタント・アスレチックトレーナー兼マニュアルセラピストを務める。

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