世界遺産 ガイド対象にセミナー 「西海市は重要なエリア」

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が6月に世界文化遺産に登録されたのを受け、西海市内の観光関係者、住民ガイドらを対象にしたセミナーが11月26日、同市の大瀬戸コミュニティセンターで開かれた。
 西海市には世界遺産の構成資産はないものの、1562年に大村純忠が港を開き、貿易とキリスト教布教の拠点となった横瀬浦があり、天正遣欧少年使節の一人、中浦ジュリアンの生誕の地でもある。観光客の増加も見込まれることから、市が開いた。
 NPO法人長崎巡礼センターの入口仁志事務局長が講師を務めた。入口さんによると、1606年に大村藩主が棄教するまでは、領内の主たる宗教がキリスト教だったとし、その後も信仰を続けた人々が潜伏キリシタンとなったという。
 1797年の大村藩と五島藩政策移住以降、西彼杵半島の西側から多くの農民たちが五島や平戸に移住した。入口さんは「信仰する人がいなくなったため、西海市には遺産が、あまり残っていないのでは」と指摘。世界遺産について「生きる土地を求めて移動した人々の歴史で、西海市は原点といえる重要なエリア。観光客に大いに語ってほしい」と結んだ。

潜伏キリシタンの移住について説明する入口さん=西海市、大瀬戸コミュニティセンター

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