長い間 ありがとう 県立図書館 最後の開館日

 長崎市立山1丁目の県立長崎図書館は30日、大村市に建設中の県立・大村市立一体型「ミライon図書館」(来年11月開館予定)への移転に伴う12月からの休館を前に、最後の開館日を迎えた。午後5時の閉館に合わせ、職員が名残を惜しむ利用者を見送った。
 県立長崎図書館は1912年創立、現建物は60年に落成した。この日は既に終了していた本の貸し出しを除き、通常通り開館。普段より多い約1400人が訪れた。閉館30分前に林田誠一館長が館内放送であいさつし「長い間利用してもらい、感謝申し上げる」と述べた。
 その後、1階で県立長崎北高オーケストラ部の丸田ののかさん(2年)らが弦楽四重奏を披露。「蛍の光」が奏でられる中、職員約40人が出入り口で利用者を見送った。職員が掲げた感謝の横断幕に、深々と一礼する利用者もいた。
 島原市下川尻町の磯野浩さん(81)は「40年ほど前、毎日のように来館していて、最後にじっくり見たかった。いろいろ思い出される」と感慨深げ。長崎市八百屋町の坂本亜紀子さん(44)と守優(しゅう)さん(13)、知優(ちう)さん(9)の親子は「県立長崎図書館ありがとう」と書いた模造紙を掲げた。亜紀子さんは「子どもたちが本を好きになるきっかけになった場所。寂しい」と話した。

長年の利用に感謝する横断幕を掲げる職員ら=長崎市、県立長崎図書館

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