「救済運動は政策に影響」 ルポライター・鎌田慧氏

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 兵庫県高砂市で1日に開かれたカネミ油症の集会で、東京在住のルポライター、鎌田慧氏(80)は「有害物質による被害者救済の道筋について」と題し記念講演。油症事件と福島第1原発事故などの状況を重ね合わせ、国の問題点を指摘した。

 鎌田氏は、原発事故被災地で多くの住民が故郷を離れ、避難中に亡くなっていった経緯を紹介。「政府は東京五輪開催に向け、もう大丈夫、故郷に帰れという声を強めている。しかし戻った住民は、放射性物質の汚染土を詰めたフレコンバッグが積み上げられた故郷で暮らしている」などと指摘した。問題が解決しないまま市民に負担や苦しみを強いる同様の状況として、大量のPCB汚染土砂をアスファルトで覆った高砂市の「盛立地(もりたてち)」近くに広がる住宅地を挙げた。

 また、「明治以降、日本は金がもうかれば後はどうでもいいという形で進んできた。国は被害者の声を聞かず、利益追求の大企業を援護してきた」と批判。今までにない抵抗の動きも出てきているとし、「被害者を救済しようとする運動は国の政策に影響を与える」と述べ、油症被害者や支援者を励ました。

油症事件と原発事故の共通点などについて講演する鎌田氏=兵庫県、高砂市文化保健センター