コラム凡語:桜の紅葉

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 桜といえば春の花見だが、秋の紅葉もきれいだ。一気に咲いて一気に散る花と違い、同じ木でも色づきが異なって、黄、だいだい、赤のグラデーションを楽しむことができる▼八幡市の三川合流地にある背割堤も、桜並木が紅葉のトンネルになる。紅葉は冬の準備を終えつつある証し。落葉樹は、光合成して栄養を蓄え、その年の仕事を終えた葉を散らして冬に備える▼背割堤の桜も落葉が進んでいるが、まだ緑の若葉がある。各地に被害をもたらした9月の台風21号は背割堤の桜も傷めつけ、9割近くの木の枝や幹が折れたり倒れたりした。葉を失った木々は、切り株などから若い芽の「ひこばえ」を伸ばし、少しでも多く力を蓄えようと日差しを浴びている▼背割堤は淀川水系各所で堤防が決壊した大正大洪水(1917年)を受けて建造された。氾濫することなく川が合流できるように、流れを整える隔流堤だ▼昭和の初めに完成し、最初は松が植えられた。昭和30年代に虫害などで枯れ、桜が植えられて見事な並木になった。ただ防風林になる松と比べて桜は風に弱く、被害を受けた▼人工林で条件が悪くても、桜は懸命に生きている。来年の春も背割堤で「さくらまつり」が開かれる。満開にならずともいい。精いっぱい蓄えた力で花を咲かせてほしい。