飲んべえ、野毛の夕べ 路上に長テーブル、演奏を背に一杯

 戦後の闇市から発展し、下町風情あふれる飲食店街・横浜市中区の野毛地区で2日、路上で飲食やライブを楽しむイベント「野毛長卓(ちょうたく)Utageプロジェクト」が初めて開かれた。野毛仲通りの一部にあたる長さ約80メートルに机といすが並び、飲んべえたちはミュージシャンたちの熱気あふれる演奏に酔いしれた。

 通行止めにした野毛仲通りでは沿道の約20店舗が自慢の料理や酒を提供した。フグ汁やイワシの丸干し、日本酒の利き酒を提供した老舗「村田家」店主の藤沢智晴さん(71)は「戦後から飲食でにぎわった野毛らしく、通りは活気に満ちているね」と喜んだ。

 飲食店主らでつくる同実行委員会が主催し、町内会や行政、警察などが協力した。実行委員長でフグ料理の老舗「福家」店主の酒井芳隆さん(54)は2019年のラグビーワールドカップ(W杯)や20年の東京五輪・パラリンピックを見据えて「飲食業者がルールやマナーを守り、誰もが安心して楽しめる街にしたい」と話す。

 野毛地区では数年前から、路上に許可なくテーブルといすを置いて営業する店が増加。客引きや看板の設置とともに路上でのトラブルが深刻な課題となっていた。飲食業関係者や町内会などでつくる「野毛地区環境浄化防犯協議会」に警察や市も加わって違法営業対策を強化している。

 今回、道路使用許可を得て路上で飲食イベントを開いたことを「飲食店にとっては大きな前進」と語る酒井さん。「野毛の発祥である闇市と月1回を掛け合わせた『やみつき市』という新名称で今後は毎月開催できれば」と意気込んでいる。

路上イベントで盛り上がる飲んべえたち=2日、横浜市中区の野毛仲通り

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