マイナンバー3年

 11月中に送ります、と告げられたのに送られてこない。マイナンバーの通知カードの配達がずれ込んで少々やきもきしたのは3年前の今ごろだった▲理解が広がっていない、見切り発車だ、と言われても国はぐんぐん推し進め、揚げ句に配達が滞ってあたふたする。勇み足の空回り-そんな感じだった▲マイナンバー制度に移れば、課税や年金の行政事務が効率化できるし、国民もいろんな手続きに使えて便利だし-などと触れ込みはいいことずくめだったが、大方の国民はどうだったろう。国の「あたふた」には気をもんでも、制度に強い関心を寄せたとは言い難い▲制度が始まってほぼ3年、希望者に無料で交付する「個人番号カード」の取得率は12%にとどまるという。今秋の内閣府の調査では、取得予定がないという答えが過半数だった。その理由の多くは「持つ必要がない」▲自治体によってはコンビニで住民票の写しを受けられたりと、そのカードを持つ利点はあるというのだが、広まっていない。3年前の見切り発車が尾を引いていないか▲サラリーマン川柳の傑作選にある。〈マイナンバー 下二桁で妻が呼ぶ〉。その呼び名とは、さぶ(32)か、ごろう(56)か。制度が始まる前の一作だが、実際は呼び名に使われるほど身近なものになっていない。(徹)

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