セ3連覇の広島が行った戦力整理…助っ人3選手放出、新井&天谷が引退

広島・新井貴浩【写真:荒川祐史】

16年MVPの新井ら11選手が退団

 3年連続でセ・リーグを制覇した2018年の広島。しかし、34年ぶりの日本一を目指した日本シリーズでは、ソフトバンクに苦渋を味わされ、1勝4敗1分で目前での胴上げを許した。来季悲願の日本一を目指し、オフの戦力整備を進めていくことになる。

 広島はドラフト会議で1位の小園海斗をはじめ、支配下7選手を指名。その一方で2012年から7年間在籍したブラッド・エルドレッド内野手、セットアッパーとして3連覇に貢献したジェイ・ジャクソン投手ら助っ人外国人3選手を自由契約とし、また、新井貴浩内野手と天谷宗一郎外野手のベテラン2人が現役を引退した。

 佐藤祥万投手、辻空投手、仲尾次オスカル投手、青木陸内野手が戦力外となり、土生翔平外野手は戦力外から球団スコアラーになる。育成ではジョアン・タバーレス選手が戦力外となり、支配下と育成合わせて6選手が戦力外となった。現時点で11選手が広島のユニホームを脱ぐことになっている。

 今オフに現役引退や戦力外などで、広島を退団した選手の実績を以下で振り返ってみる。

◯新井貴浩(現役引退)
 1998年のドラフト6位で駒沢大から広島に入団し、今季で20年目だった大ベテラン。7年目の2005年に自己最多となる43本塁打を放ち本塁打王を獲得。2007年オフにはFA権を行使して阪神へと移籍した。阪神では2011年に93打点をマークし、打点王のタイトルに輝いた。2014年オフに野球協約で定められた減額制限を上回る年俸提示を受けて自由契約となり、広島へと復帰。2016年には史上47人目の2000安打、同42人目の通算300本塁打を達成。打率3割、100打点を記録して広島の25年ぶり優勝に貢献し、MVPにも輝いた。今季は故障の影響もあり主に代打として63試合に出場にとどまったが、精神的支柱としてチームを3連覇に導き、仲間からもファンからも愛される選手だった。

◯天谷宗一郎(現役引退)
 2001年にドラフト9位で入団し、今季が17年目だったベテラン。7年目の2008年に135試合に出場すると、翌2009年には94試合の出場ながら、打率.300をマーク。2013年以降は代打や守備固めなど途中起用が増えたが、チームにとっては欠かせない中心選手の1人だった。今季は引退試合となった10月4日の巨人戦の1試合のみの出場だった。

◯ブラッド・エルドレッド(自由契約)
 今季で来日7年目だったファンを愛し、ファンに愛された助っ人。2012年のシーズン途中に来日すると、武器であるパワーと、そのキャラクターで広島ファンを魅了した。2014年には37本塁打を放ち、本塁打王のタイトルを獲得。その後も毎年100試合ほどの出場で20本塁打前後を放ち、チームに貢献した。ただ、今季はバティスタやメヒア、そして投手陣との外国人枠争いがあり、38試合出場にとどまり、惜しまれつつ今季限りでの退団が決まった。

◯ジェイ・ジャクソン(自由契約)
 3年間広島のセットアッパーを務めた右腕も今季での退団が決定。2016年に来日すると1年目から67試合に投げて5勝4敗37ホールドをマークし、チームの25年ぶりVに貢献。2年目の昨季も60試合に投げて30ホールドをあげた。今季も25ホールドをマークしたが、フランスアの台頭などもあって、来日後最小の48試合の登板にとどまり、退団することとなった。

◯レオネル・カンポス(自由契約)
 ブルージェイズから今季加入した助っ人右腕。中継ぎの一角として期待されたが、シーズンのほとんどをファームで暮らし、わずか1試合の登板で退団することとなった。

◯佐藤祥万(戦力外)
 2008年にDeNAに入団し、11年目を迎えた左腕。2013年オフに日本ハムへトレード移籍。2014年オフに戦力外となり、2015年から広島へ移籍した。1年目こそ1軍登板はなかったが2016年に2試合、昨季も6試合に投げ、今季も7試合に登板。プロ通算63試合で0勝1敗0セーブ4ホールド、防御率4.57だった。

◯辻空(戦力外)
 2012年に育成ドラフト1位で岐阜城北高から入団し、6年目だった右腕。最速150キロを超える真っ直ぐを武器に、2015年オフに支配下選手登録されが、1軍出場はないまま、戦力外となった。

◯土生翔平(戦力外→球団スコアラー)
 地元の広陵高から早稲田大を経て2011年ドラフト4位で入団。今季が7年目だった。大学時代は4季連続で3割をマークし、3年秋には首位打者も獲得。俊足強打の外野手として期待されたものの、1軍では2016年と2017年に5試合ずつに出場したのみ。通算10試合で9打数1安打に終わり、来季からはスコアラーとなる。

◯仲尾次オスカル(戦力外)
 ブラジル出身で白鴎大、社会人のHondaを経て2015年のドラフト6位で入団。ルーキーイヤーにいきなり23試合に登板しプロ初勝利を含む2勝をマーク。だが、2017年は出場機会が激減。今季は1軍登板が1試合もないまま、入団3年で戦力外となった。通算25試合2勝0敗0セーブ1ホールド、防御率6.29。

◯青木陸(戦力外)
 2015年のドラフト7位で山形中央高から入団した内野手。高校通算46本塁打を放った強打者だったが、1軍出場のないまま、入団3年目での戦力外通告となった。

【育成】
◯ジョアン・タバーレス(戦力外)
カープアカデミー出身、恵まれた体格を誇る右腕。2018年にフランスアとともに来日し、育成契約を結んだ。アカデミー出身者として支配下契約を勝ち取り11本塁打をマークしたバティスタのような成長が期待されていたが、シーズン中盤から終盤にかけて大活躍を見せたフランスアとは対照的にファームで防御率7.32と打ち込まれ、1年で戦力外通告を受けた。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2