容疑者の勾留却下率、初の1割超え 熊本県内の裁判所、全国で突出

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 警察や検察が逮捕した容疑者を取り調べるため、検察が容疑者の身柄を拘束するよう裁判所に求める「勾留請求」を、熊本県内の裁判所が認めなかった「却下率」が2017年の1年間で10・67%と、全国平均の4・91%に比べ、突出して高いことが3日、熊本地裁のまとめで分かった。

 県内の却下率は、却下数がゼロだった10年以降徐々に上昇し、16年は全国平均3・94%に対し、8・42%と急上昇。17年はデータの残る1985年以降、初めて1割を超えた。

 県弁護士会の村山雅則・刑事弁護センター委員長は「身柄拘束の必要性は慎重に判断すべきで、却下率の上昇は望ましい方向だ」と歓迎。一方、捜査関係者からは「勾留却下で容疑者の取り調べが任意となり、捜査が長期化する」と戸惑いの声も上がる。  逮捕、送検された容疑者の身柄の拘束が必要な場合、検察は裁判所に勾留を請求。刑事訴訟法は、容疑者に決まった住居がないか、証拠隠滅や逃亡の恐れがある場合、勾留が認められると規定する。一方で、刑事事件の容疑者は裁判で有罪が確定するまで、「無罪の推定を受ける」という大原則がある。

 今年6月末、八代市内のコンビニで、男が店主にカッターナイフを突きつけて売上金約6万円を奪って逃走する事件が発生した。男は直後に強盗容疑で逮捕、送検されたが、裁判所は勾留を認めず翌日に釈放された。

 近くの自営業の男性(71)は「凶悪事件の容疑者がすぐに釈放とは、不安で信じられない。証拠隠滅や再犯の恐れがないと言い切れるのか」と話す。県警幹部は「強盗容疑者の勾留が認められなかった例は記憶にない」と驚きを隠せない。

 16年3月には、「裸の写真を流出させる」と知人女性を脅した疑いで逮捕された男の勾留が認められず釈放された。だが、男は約2週間後に別の女性を性的暴行目的で襲い、女性暴行致傷容疑で逮捕された。「勾留していれば被害を防げたはずだ」と別の県警幹部。男は熊本地裁で懲役6年の判決を受けた。

 熊本地裁は却下率について「事案の内容に応じて、各裁判官が個別に判断した結果の集積だ」としている。(山口尚久、益田大也、丸山宗一郎)