普遍性ある国民的課題 被害者支援センター 大久保貞利共同代表 

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 2002年の発足から被害者を支える市民運動を展開するカネミ油症被害者支援センター(YSC、東京)。記念行事に参加した大久保貞利・共同代表(69)=千葉県船橋市=に、活動の意義や今後の展開について尋ねた。

 -活動を振り返って。
 00年ごろから五島市で医師と自主検診に取り組み、ある被害者から「国からも国民からも見捨てられた」という怒りの声を聞いた。今も活動の原点。その後、被害者に学びながら国会などでのロビー活動を続け、仮払金返還免除特例法(07年)と救済法(12年)の二つを勝ち取ったのは誇れる成果だ。少しずつ被害者の信頼も得ることができた。
 -今後の課題は。
 次世代を含む未認定患者の救済や治療法の解明、認定患者への給付の充実など山積みだ。PCBを製造したカネカについては刑事、民事責任を問うのは難しいが、自社製品で被害が発生したという意味で道義的責任はあるはず。マスコミや政治を巻き込み、救済に加わるよう求めていく。
 -PCBの処理は今も全国で続いている。
 大気や河川などの汚染を防ぐため(PCBを含む電気機器などの処分に)国は多額の費用をつぎ込む。一方で「内なる環境」つまり油症患者の体内を汚染したPCBの処理や健康支援には金が使われない。国は、(処理義務を負う)企業を救っても人間は救わない。
 -油症問題に取り組み続ける意義は。
 油症は化学物質による複合汚染。日々新たな化学物質が生まれる中で同様の事件は起きかねず、治療法の確立や救済策を考える上で普遍性がある。また、加害者が大企業なら(補償金など金銭面で)被害者が救済され、カネミ倉庫のような小さい企業だと救われない状況は理不尽。救済能力が低い中小企業が起こした事件について、被害者を救う枠組みを考えることは国民的課題だ。

YSCの活動を振り返り、「被害者救済に向けた課題は山積み」と語る大久保共同代表=五島市内