中国・宝鋼、江蘇省塩城に新製鉄所を建設 第1期8200億円、粗鋼産年1000万トン、最終的に2000万トン

 中国・宝山鋼鉄は1日、江蘇省塩城市に粗鋼年産2千万トン級の高炉一貫製鉄所を建設する計画を発表した。計画は段階的に進めるとし、第1期で粗鋼年産800万~1千万トン、投資額は500億元(約8200億円)を予定する。建設は2019年から始める方針で、約3年後の完成を見込む。沿岸部に立地する一貫製鉄所であり、計画が実現すれば宝山鋼鉄の競争力を一層高めることになりそうだ。

 親会社の中国宝武鋼鉄集団が先月30日に江蘇省人民政府や南京市人民政府などと戦略的協定を締結した。中国では粗鋼生産量に関する規制が厳しく、単純には増産できない。宝山が新製鉄所を建設するには既存の粗鋼能力を削減する必要があり、その対象となるのが梅山製鉄所の粗鋼年産700万トン分。ただ、梅山製鉄所生産分を新製鉄所に活用するだけでは計画数量に足りず、今後は宝武グループ内の生産調整や他鉄鋼メーカーのM&Aなどにより粗鋼を増産できる枠を獲得しながら、2千万トン規模に増強していくことになる。

 宝山鋼鉄は上海宝山製鉄所をはじめ、武漢(青山)・南京梅山・湛江(東山)の「四山」製鉄所があり、粗鋼生産量は4500万トン規模。ただ、上海市の宝山および南京市の梅山は大都市近郊にあり、環境規制から増産は難しい状況にあった。そのため、以前から「梅山はいずれ移転せざるを得ない」(関係者)との話も聞かれていた。今回の計画発表により、梅山製鉄所の移転問題の解消は積極的な増強計画として具現化されることとなった。

© 株式会社鉄鋼新聞社