埼玉西武がポスティング申請 菊池雄星の争奪戦がスタート

埼玉西武ライオンズはメジャーリーグに挑戦する菊池雄星のポスティング申請を完了したことを発表した。菊池が海外FA権を取得するのは最短でも2020年オフであり、メジャー挑戦のためには球団の許可が必要だったが、埼玉西武は菊池のポスティング利用を容認。「ポスティング利用を認めてくれた西武球団には感謝しかない」と感謝を口にした菊池は、「良い結果を得るためにできることに集中したい」と語り、これから始まる30球団との契約交渉に向けて決意を新たにした。

今季の菊池は23先発で163回2/3を投げ、14勝4敗、防御率3.08、153奪三振をマーク。左肩の故障により一時戦列を離れたものの、エースとして最低限の役割は果たした。通算では158試合(うち153先発)に登板して73勝46敗、防御率2.77をマーク。また、大谷翔平(エンゼルス)と同じ花巻東高校の出身であり、高校卒業時には直接メジャーリーグに挑戦することも検討していたが、最終的には日本プロ野球入りを決断した。

速球の平均球速は92~94マイル前後、最速では96~98マイルに達する。これは日本人左腕ではあまり例を見ないスピードであり、メジャー平均も上回っている(2018年の先発左腕の平均球速は91.4マイル)。速球に次ぐ武器となるのがスライダーで、そこにカーブとチェンジアップを交えながらピッチングを展開する。大谷、ダルビッシュ有(カブス)、田中将大(ヤンキース)ほど絶対的な存在ではないものの、アメリカでは「先発2番手クラスの素質を秘めている」との評価が一般的であり、まずは先発3~4番手としての活躍が期待される。

菊池は代理人としてスコット・ボラスを採用。メジャー各球団と30日間の交渉期間が設けられている。菊池は昨オフの大谷とは違い、インターナショナル・ボーナスプールの制限を受ける立場ではないため、メジャー各球団は自由に契約金や年俸を設定できる。今オフからポスティング制度のシステムが変更となっており、菊池がメジャー球団と契約した場合、契約総額に応じて埼玉西武に補償金が支払われる。

また、菊池には多数の球団が興味を示すことが予想されており、MLBネットワークのジョン・ヘイマンは菊池獲得を狙う可能性のある球団としてドジャース、パドレス、ジャイアンツ、マリナーズの4球団を挙げている。また、共同通信のジム・アレンはヤンキース、ジャイアンツ、レッドソックス、ドジャース、フィリーズ、ブリュワーズ、レンジャーズのスカウトが9月下旬に埼玉西武の試合を視察に訪れていたことを伝えており、このほかにもダイヤモンドバックス、インディアンス、パイレーツ、タイガースなどもスカウトを派遣していた形跡がある。埼玉西武のエースとして活躍してきた実績はもちろん、まだ27歳という若さも魅力であり、いよいよ熾烈な菊池争奪戦が幕を開ける。

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