東海地区、亜鉛めっき加工「超繁忙」 5年ぶり高水準、選別受注も

 建設業の超繁忙が、いよいよ「亜鉛めっき加工」の現場まで広がってきた。東海地区の亜鉛めっき加工業者が、ここ数年経験したことがなかった仕事量の多さに悲鳴を上げている。10月の加工量は、約2万4千トン。比較的堅調だった2014年同月の実績をも上回るレベルだ。現場の人手不足やトラックの手配難で、選別受注しなければ到底対応できない状況。この状況はしばらく続きそうだ。

 地区の主要な亜鉛めっき加工業者では、9月あたりから注文が増え始めた。夏場は逆に予定した加工が工期遅れなどで予定通り入ってこず、工場の稼働率は低下した。

 足元、やりきれないほどの仕事を抱えている業者が目立っている。月間加工量は9月で2万トンを超え前年実績にほぼ並んだ。10月は同約5%増の2万4千トン程度まで加工が増えた。

 このペースで推移すると、今年度は累計25万トンを上回り5年前と並ぶ高水準になりそう。地区案件と並んで関東案件の加工注文が目立つという。

 建設業は、3年ほど前からゼネコン段階で案件があふれ、設計者の不足など対応しきれない状況となり、現在に至っている。

 また、2年ぐらい前からは鉄骨加工業で物件があふれだし、加工が間に合わない状況にも。加えて足元ではコラム(大径角形鋼管)や高力ボルトの不足などが顕著になり工期遅延が当たり前とさえいえる状態になっている。

 地区のある業者は「加工量が5年前と同等かそれ以上のレベルに上がっている一方、その間に人員は減り、量が減った状態で事業を継続できる体制にスリム化している」と語る。

 増える受注に即座に体制を整備することもできない。「今いるスタッフに労働の負荷がかかり、これ以上無理はさせられない。トラックの手配なども非常に厳しくなっており、明らかに能力を超えている」と苦悩の表情をあらわにする。

 そうした中、顧客からの依頼に対し「運送費」と「加工費」を明確に分けて見積もるケースが当たり前になっているほか、「見積もりの有効期限が過ぎたとみられる工期遅れのものに対しては、再見積もりを実施するなどで何とか対応したい」との声も聞こえる。

 いよいよめっき加工の現場にまでこなせないほどの「受注ラッシュ」がかかっている建設業。地区の建築案件は「来春から夏にかけて、さらに工事開始の案件が増える」と見ている扱い筋が多く、来年度にかけてこの超繁忙が続く可能性が高い。

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