「募金集めて娘とディズニー」は許されるか 英国で論争

By 太田清

GoFundMeのページ

 英西部ブリストルに住む女性(35)が娘2人を米国のテーマパーク「ディズニーワールド」に連れて行ってあげようとネットで募金を呼びかけたところ、「娯楽のための募金集めは許せない」などと批判を招くなど英国で論争に。一方、募金に応じた人も多数現れ女性は11月、集まったお金で米国への旅行を実現した。大衆紙「サン」(電子版)などが5日までに伝えた。 

 女性は地元の病院で介護の仕事をしているニッキ・スミスさんで、ディズニーが大好きな10代の娘2人の夢を実現しようと昨年、寄付型クラウドファンディング「GoFundMe」で寄付を募ったところ、「家族旅行のために一生懸命貯金をしている人がたくさんいるのに。自分勝手な人!」「なんであなたたちの旅行のために、私たちが節約しなきゃいけないの」などと批判が殺到。 

 スミスさんは10ポンド(約1400円)しか集められずにいったんページを閉鎖。不定期に短時間就労する契約労働者で、週に2回の夜勤業務しかしていないというスミスさんは「旅行代金は高すぎて、私だけで連れて行ってあげることはできません。お金をためても、そのころには娘たちはディズニーを楽しめる年齢ではなくなってしまうでしょう」と訴え、批判にめげず、ページを再開。 

 再開後は好意的な反応も現れ、計134人から7328ポンド(約105万円)を集めた。1人で2198ポンド(約31万円)募金した人もいたという。11月に旅行を実現した後は、自分のページで「私のキャンペーンに寄付してくださったすべての親切な方に、私たちがとうとうディズニーワールドに行ったことを報告したい。皆さんは私の娘たちの夢を実現するのに力を貸してくれました。心の底から感謝したい」とのメッセージとともに、娘とともに楽しむ様子を写した写真をアップした。批判に対しては「私は誰も傷つけるつもりはないし、募金を強制もしていない」と反論していた。  

 GoFundMeは米国で2010年に始まったクラウドファンディングでカナダ、英国などでも活動を展開。寄付を集めたい人が自分でページをつくり呼びかけるのが特徴で、災害支援や慈善活動、病気や事故で苦しむ人の支援のほか、家族へのプレゼント購入や学費集めなどさまざまな活動に使われている。(共同通信=太田清)

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