関学大ワンゲル部 ヒマラヤの2峰登頂 大長山の遭難乗り越え

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ヒマラヤにある2峰の頂上に掲げた旗を手に笑顔を見せる(左から)田村一正さん、安藤誠さん、鹿田慧さん=三田市学園2、関学大神戸三田キャンパス

 関西学院大学ワンダーフォーゲル部の学生3人が11月、ヒマラヤ山脈にある6千メートル級の2峰の登頂に成功した。同部は2004年2月、福井・石川県境の大長山で部員14人が遭難、救助される事故を起こし、一時活動が停滞。安全教育や技術向上など部員と卒業生が一体となった活動が実り、1995年以来23年ぶりの海外遠征を成し遂げた。

 リーダーで総合政策学部4年の安藤誠さん(22)=兵庫県西宮市=と理工学部3年田村一正さん(22)=同、文学部3年鹿田慧さん(21)=大津市。10月12日にネパールに入り、高地に体を慣らしながら27日、エベレストに近いメラピーク(6476メートル)に挑戦。登頂後、スキーで約千メートルを滑降した。田村さんは「いつもはあっという間に滑れるが、空気が薄く、1時間ほどかかった」と振り返る。

 11月1日には約20キロ北にあるイムジャツェ(6189メートル)の登頂に成功。氷の壁が立ちはだかる「アイスフォール」や氷の深い割れ目「クレバス」などを順調にクリアした。クレバスに落ちた仲間を引き上げる訓練を繰り返してきたという鹿田さんは「慎重に行動でき、実際に使う場面がなくて良かった」と話す。6千メートル級の山を連続して登ったのは同部初という。

 安藤さんと田村さんが昨春から計画を練り、鹿田さんが加わり登山隊を結成した。遠征費用を工面するため、9月に同部のOB・OG約400人に手紙を送ったところ、約1カ月で200万円超が寄せられた。多額の寄付には、卒業生の熱い思いが詰まっていた。

 同部は、04年の遭難事故で部員の準備や経験不足が指摘された。部員は1学年4、5人と、それまでの半数近くに激減。卒業生が基本に立ち返って技術指導をするなどし、徐々に挑戦する山の難易度を上げていった。今も現役部員は冬山に入る前、当時の事故報告書を読んで問題点を発表し合う勉強会を欠かさない。

 来年2月で事故から丸15年。安藤さんは「遭難後、しばらくは海外に行ける状況ではなかったはず。先輩たちの努力のおかげで挑戦できた。人のつながりの大切さを学んだ」と話し、卒業生に向けた海外遠征の報告書作りを進めている。(高見雄樹) 【関学大ワンダーフォーゲル部の大長山遭難事故】2004年2月7日、冬合宿中の部員14人が福井・石川県境の大長山(1671メートル)山頂付近の斜面で、猛吹雪のため立ち往生。雪洞を掘って風雪をしのぎ、2日後に全員が救助された。事故後の調査では、部員の準備や経験の不足が指摘された。