ハードル高いMLBの3000本安打 イチロー、ベルトレ、プホルスに続くのは?

メジャーの舞台で3089安打を記録しているマリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

2676安打のカブレラは最も近いが今季はわずか40本

 現役最多安打を誇るレンジャーズのエイドリアン・ベルトレ内野手が11月30日、レンジャーズ本拠球場で引退会見を行った。ベルトレは歴代16位の3166安打。現役ではイチローが23位の3089安打で続く。3000本安打は、MLBの長い歴史で32人しかいない。今後の3000本安打を予想しよう。

 2018年終了時の現役選手、通算安打数20傑。右端の安打数は2018年の安打数を示す。

1ベルトレ3166安打(39歳/レンジャーズ)118安打 引退
2イチロー3089安打(44歳/マリナーズ)9安打
3プホルス3082安打(38歳/エンゼルス)114安打
4ミゲル・カブレラ2676安打(35歳/タイガース)40安打
5カノ2470安打(36歳/マリナーズ)94安打
6マーカキス2237安打(34歳/ブレーブス)185安打
7マルチネス2153安打(39歳/タイガース)117安打
8レイエス2138安打(35歳/メッツ)43安打
9マウアー2123安打(35歳/ツインズ)137安打 引退
10ホリデー2096安打(38歳/ロッキーズ)15安打
11ゴンザレス2050安打(36歳/メッツ)40安打
12フィリップス2029安打(37歳/レッドソックス)3安打
13キンズラー1943安打(36歳/エンゼルス・レッドソックス)117安打
14アトリー1885安打(39歳/ドジャース)35安打 引退
15メルキー・カブレラ1856安打(33歳/インディアンス)70安打
16モリーナ1850安打(35歳/カージナルス)120安打
17ラミレス1825安打(34歳/レッドソックス)45安打
18ジョーンズ1813安打(32歳/オリオールズ)163安打
19ペドロイア1803安打(34歳/レッドソックス)1安打
20ブラウン1802安打(34歳/ブルワーズ)103安打

 2018年オフの時点で、現役の3000本安打は3人。イチローは来春現役復帰するとされているが、プホルスとの差は7本。抜かれる可能性は大きいだろう。

マーカキスに可能性あり、若い選手ではトラウトとアルトゥーベに期待

 4位には現役唯一の3冠王ミゲル・カブレラがつけている。まだ35歳だが、6月に左上腕二頭筋の腱断裂で戦線離脱。今季は40安打にとどまった。放出の話も出ているだけに、大台クリアはやや微妙だ。

 5位のロビンソン・カノは、先日、大型トレードでメッツへの移籍が決まり、周囲を驚かせた。2013年オフに10年2億4000万ドル(約271億4400万円)の大型契約をしていたが、残りの契約のうちマリナーズは2000万ドル(約22億6200万円)を負担すると言われている。そのカノも今年はMLB薬物規定に違反して80試合の出場停止処分となり、94安打にとどまった。現在36歳であることを考えると、あと530安打は微妙なところだ。

 6位のニック・マーカキスは今季フル出場し、185安打と健在。あるいは、3000本安打達成はマーカキスの方が早いかもしれない。

 7位以下の選手を見ても、今後安打を量産しそうな選手は少ない。3000本安打はそれだけ厳しい数字だということだ。

 働き盛りでは、大谷の同僚、エンゼルスのマイク・トラウトが27歳で1187安打。大いに期待が持てるが、トラウトは四球が非常に多いのが持ち味になっている。その分、安打数が少なくなるのが懸念材料だ。

 その点では、アストロズのホセ・アルトゥーベが期待できそうだ。28歳にして、すでに1419安打。2017年まで4年連続最多安打。通算打率も.316。故障や怪我などがなければ、10年以内にクリアする可能性があるだろう。

 3000本安打を達成した32人の打者のうち、25人がMLBの野球殿堂入りしている。残りの7人のうち、デレク・ジーター(3465本)、ベルトレ、アレックス・ロドリゲス(3115本)、イチロー、プホルスの5選手は資格取得前か現役で、殿堂入りしていないのは野球賭博で永久追放となったピート・ローズ(4256安打)、禁止薬物使用疑惑のあったラファエル・パルメイロ(3020安打)の実質2人のみとなっている。「3000本安打クラブ」への入会は、MLB打者にとって最大の目標の1つなのだ。

 来季以降の展開に注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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