「もったいない」が生んだヒット

 60周年迎えるベビースターラーメン 長寿の秘密(1)

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関かおり

共同通信

関かおり

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2013年入社。名古屋支社、静岡支局、浜松分室を経て47ニュース編集部に。将来の夢は忍者。

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 スナック菓子界の重鎮「ベビースターラーメン」が来年で発売60周年を迎える。

 2016年冬、約30年間パッケージを飾ってきたキャラクター「ベイちゃん」「ビーちゃん」の引退が発表されると、三重県知事がコメントを出すほどの騒動に。翌年新たに就任したのは星柄のニット帽に赤い服の「ホシオくん」。節目の年を前にキャラクターを交代した理由について、製造元のおやつカンパニー(三重県津市)は「長年育ててきた楽しいブランドイメージを、次の世代に伝えるために変更を決めた」とコメントを出した。これまで、60年もの間、時代に合わせてどのように成長してきたのか。そしてデビューから2年となるホシオくんは今どうしているのか。おやつカンパニーに聞いた。

 従業員へのおやつがきっかけに

 ベビースターラーメンは1959年に誕生した。現在の製造工場はベビースターラーメンミニサイズ換算で年間5億食の生産能力を持つ。大人のおつまみ向けの「ベビースターラーメンおつまみ」や地域限定品などを含めて約60種類の商品を展開。ベイちゃん・ビーちゃん引退からホシオくん登場に伴う報道も追い風となり、ブランド全体で売り上げは上昇傾向という。

 誕生のきっかけとなったのは、従業員に配られたおやつだった。1950年代、同社は即席麺を製造していた。天日干しの作業中にこぼれ落ちた麺のかけらを見て「もったいない」と感じた創業者は、かけらを集めて味付けをして従業員に配った。そのおやつが評判になり、商品化。子どもが買いやすい価格帯や目を引くオレンジ色のパッケージ、手づかみで食べられる手軽さが人気を呼び、販売開始からわずか2年で売り上げは倍増した。当初は駄菓子だったが、92年にパッケージサイズを変更してスナック菓子として売り出し、破竹の勢いでヒット商品に成長した。現在は発売当初と比較して売り上げが200倍に拡大している。

 消費者の味覚や嗜好の変化に合わせ、味付けは少しずつ改良されている。過去と比較して、塩分を控えてコクやうまみを引き立たせるような配合に変更。麺の形状も、表面積を増やして味のなじみが良くなるように丸形から四角い形になっている。消費者調査のほか、同社の「お客様相談室」に寄せられた声を基に商品開発や改良を重ねた。

 メイン購買層は30~40代に

 また、駄菓子として発売した当初、ターゲット層は子どもだったが、駄菓子屋に代わってスーパーマーケットやコンビニエンスストアが販路の中心になったことで、子どもが自ら選択して購入する機会が減り、親が代理で購入するシーンが増加。ターゲットは変わらず子どもでありながらも、30~40代がメインの購買層となっている。そこで同社は、親世代の支持を狙い、ことし7月から「料理にも使えるベビースター」をテーマに新しい消費シーンの開拓を始めた。そのまま食べるだけでなくサラダやチャーハンの材料として使うなど調理法を提案し、ベビースターラーメンが登場する機会の拡大を目指す。9月にレシピ本を発売したほか、ホームページ上ではホシオくんに扮したタレントの出川哲朗さんが動画でレシピを紹介している。こうした販売の現場の情報は、営業の担当者からのヒアリングなどでつかんでいるという。

ベビースターラーメン専用の久居工場。一体型のテーマパーク「おやつタウン」が併設される。(津市)

 来夏には、ベビースターラーメンの工場と一体型のテーマパーク「おやつタウン」が津市に開業する。ベビースターラーメンを作ることができる体験コーナーやアスレチック施設などを備える予定で、運営会社は初年度の来場者数を40万人と見込んでいる。

 キャラクター変更や調理法の提案など、60周年を前にリニューアルを図ったベビースターラーメン。おやつカンパニーの担当者は「これまでのイメージを大切にしながら展開をしたい」と今後の販売戦略を語り、ホシオくんについては「今後ますます愛されるキャラクターになってほしい」と期待を込めた。

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