亀梨和也「自分らしさ排除した」。主演ドラマ「東野圭吾 手紙」の役作り明かす

テレビ東京系で12月19日放送のドラマスペシャル「東野圭吾 手紙」(午後9:00)の記者会見が行われ、主演のKAT-TUN・亀梨和也、共演の佐藤隆太、本田翼が登壇した。亀梨は役作りにあたって「監督から自分らしさというか、シャープさというか、そのあたりを排除したい。できるだけ周囲になじむ、目立たない存在でいてほしいと言われました。普段の生活からトリートメントをしない、目薬をささない、姿勢を少し悪くしてみるなど、いろいろと試みをやってみました」と普段の生活から役になり切ったことを明かした。

同作は作家・東野圭吾氏の同名小説を原作に、犯罪加害者の弟となってしまった主人公・武島直貴(亀梨)が、世間からの偏見や差別に苦しみながらも生きる意味を見出していく姿を兄弟の手紙を通して描いていく。亀梨は「日々葛藤と言いますか、原作と台本を読ませていただいた中で、作品が持っているメッセージ性、方向性に自分がしっかりリンクしていけるように、監督とコミュニケーションを取りながら撮影していきました」と、重いテーマを持つ名作に臨んだ心境を語った。これには佐藤も「原作はもちろんのこと、舞台化、映画化と、愛されてきた作品なので、非常に緊張感があるというか、ハードルが高い作品だと思いました」と同意した。

続いて自身の役柄について亀梨は、「客観的にひと言でいうと、かわいそうだなとか、大変そうだなと使いがちになってしまうのですが、誰よりも人間が持っている温かさと醜さを感じて生きていると感じました。これが生きることなのか、と」と語り、作中で披露する歌唱シーンについては、「最初はどのように歌っていこうかと悩んでいました。一応なんちゃってアーティストなんで(笑)。役としてすてきにも聞こえないといけないし、自分のニュアンスだけで歌うのもだめだし。結果的には監督、音楽監督のもと進めていき、間を取れたと思います」と制作秘話を明かした。

一方、犯罪加害者となってしまう兄・剛志を演じた佐藤は、「とにかく難しかったです。完成版にはナレーションが入るので、お兄ちゃんの影を感じられるのですが、実際にその姿が映っているシーンは少なくて。とても光栄だったのですが、めちゃくちゃひるんだというか、その緊張感は相当なものでした。『本当にこういう表現でいいか?』と悪戦苦闘しながら演じていきました。僕が演じた剛志はとにかく弟への愛情があふれているお兄さんという印象です。自分が当初に思っていた以上にその思いが強く、その結果、思いあふれて罪を犯してしまった」と、難役に挑んだエピソードを語った。

直貴の妻・由実子を演じる本田は、「由実子は武島さんの人生を途中から支えるパートナーです。加害者の弟の奥さんになるという決断であったり、それによって自分も他人からの偏見に苦しみながらも立ち向かう気持ちであったりと、とても強い女性だと思いながら演じていました」と役柄の印象を語った。また本田は、今作で初の母親役に挑戦。そのことを聞かれると、「難しかったですね(笑)。赤ちゃんならまだしも、今回は6歳の女の子の母親なので、ある程度子育てには慣れているけれども、新しいものにも出会うというタイミングなんです。娘役の子と現場では常にいて、彼女のお母さんとも話をして撮影に臨んでいました」と語った。

最後に亀梨は、「僕も先日完成版を見させていただいたんですけど、僕自身の解釈が正解なのかと分からないぐらい多様なメッセージ性が込められています。普段生きていく中でまひしている部分、ぼやけている部分を改めてクリアに見てみようと感じていただけるものがあるんじゃないか思います。これが良い悪いというひと言では片付けられない。生きるって時間を積み重ねていく難しさ、人と向き合う難しさ、だからこそ人って、生きるっていいんだなと改めて感じられる作品になっていると思います」と締めくくった。

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