“政治に支配されるF1”で苦労したハートレー「トロロッソ離脱の顛末を、いつか明らかにしたい」

 2018年シーズン末でトロロッソを離脱したブレンドン・ハートレーが、レッドブル/トロロッソとは長期契約を結んでいたため、シーズン前半から解雇のうわさが出たことに驚いたとして、契約を終えるに至った事情について、いつか明らかにしたいと語った。

 2017年F1アメリカGPでトロロッソに加入したハートレーは、2018年に初のフルシーズンを迎えたが、比較的早い段階からチーム首脳陣がハートレーのパフォーマンスに不満を持っていると報じられるようになった。シーズン途中での解雇のうわさも持ち上がるなか、最終戦まで走り切ったハートレーだが、アブダビGPの翌日、チームは2019年のドライバーとして、ダニール・クビアトのチームメイトにアレクサンダー・アルボンを起用することを発表した。

 母国ニュージーランドのラジオ番組Mike Hosking Breakfastのインタビューに応じたハートレーは、チーム離脱に至るまでに何が起きたのかについて聞かれ、今は明らかにすることができないが、いずれ話したいと答えた。

「公表できない部分がある。ぜひともいつかその話をしたい」とハートレーは語った。

「政治的な問題は好きではない。メディアから注目されることに慣れるのに時間がかかった。(WECで)LMP2で走った後、ポルシェに加入してレースをしてきた。F1で走る準備はできていたが、細かく分析されることでのプレッシャーは、予想していた以上に大きかった。それでもシーズンを通してそれに慣れていった」

■「F1のドライバー選択には政治と金が大きくかかわってくる」とハートレー

 ハートレーは、長期契約を結んでいたにもかかわらず、初のフル参戦シーズンの序盤から、チーム離脱のうわさがささやかれ始めたことに驚いたと語った。しかし、プレッシャーが高まるなかで自分は最善の仕事をしたと、ハートレーは断言する。

「シーズンのかなり早い段階で(解雇の)うわさが持ち上がった。本当に驚いたよ。僕は長期的な契約を結んだと思っていたからね」

「ル・マンで優勝し、世界耐久選手権のタイトルを獲得してF1に来たというのに、2戦か3戦で、僕のごく近い将来について疑問が持ち上がり、うわさが流れ始めたんだ」

「そういう状況にうまく対応したと思っている。人によっては心が折れてしまうだろう状況だったが、僕はそれを経験することでより強くなることができた。戦って、シーズンのなかで進歩した」

「『彼は前進し、チームメイトを倒す必要がある』という記事もあった。でも実際、シーズン終盤には調子が上がり、ホンダやトロロッソのスタッフ全員と素晴らしい関係を築き、コンスタントにチームメイトよりいいパフォーマンスを発揮していた」

「こういう状況にうまく対処し、シーズンを通して進歩していったことを、とても誇りに思っている」

「F1はとても複雑だ。金が大きくかかわっているし、政治的な問題もあって、ドライバーは残留するか去るかを必ずしも自分の力で決められるわけではないし、純粋なパフォーマンスで決定されるとも限らない。いずれにしても僕は堂々とパドックから去った。自分が今年最善を尽くしたこと、必要な時に積極的に行動したことは分かっていたからだ」

「今シーズン、素晴らしい経験ができた。F1という最速のマシンに乗ることができた。誇りに思えることはたくさんある。ただ、F1でもっとやれることがあったとも感じている」

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