藤井誠暢も苦労したGT3でも異なるドライビングスタイル/知らなくても困らないGT300マニアックネタPart1

2年連続GT300チャンピオンとなったメルセデスAMG GTはフロントサスペンション・ジオメトリーにアンチダイブが強くついているので、ブレーキングでノーズダイブを全くしない。なおかつダウンフォースが強力なので、F3などのフォーミュラカー同様にブレーキングで速度低下したぶん、ダウンフォースが減り車高が上がっていく。

開幕戦と最終戦ポールで速さを印象づけたランボルギーニ・ウラカンGT3。速さを磨いたのがランボルギーニ・ワークスのセッティング。レイクを強くつける(車体を前下がりにする)ことでダウンフォース量が増加した。しかしドライビングはワークスドライバー、マルコ・マペッリが日本に合わせた。日本のハイグリップタイヤに欧州スタイルの運転が合わないからだ。

RRレイアウトで奮闘するポルシェ911GT3 R。重量バランスから独特のドライビングが要求される。直線的にコーナーに飛び込み旋回時間を短くするV字スタイル、和式のドライビングが合っていると藤井誠暢は語る。スーパー耐久で乗るのは15スペックGT-R+ピレリタイヤなので、大きく運転をスイッチしなければいけない。GTテスト翌日にスーパー耐久レースというときにその“スイッチ”切り替えができずに困ったことがあった。

同じく藤井のポルシェネタ。ワークスドライバー、アール・バンパーは鈴鹿10hで他のポルシェドライバーの誰よりも130Rが速かったという。データを見たところ、130Rだけ左足ブレーキに切り替えて、ブレーキをあてながらスロットルを全閉にしていなかった。

アウディR8 LMSのフロントダンパーは、フォーミュラカーのようにアップライトにマウントされていて、レバー比を適正化、アームの負担軽減を図っている。

BMW M6 GT3は前半分が完全にレーシングカーとして設計し直されていて、ノーマル部品はいっさい残っていない。アームは驚くほど細く、そこにつくスフェリカルベアリングも極小。必要な剛性を確保しながら軽量化している。

19戦17勝という圧倒的勝率で全日本F3チャンピオンとなった坪井翔。マザーシャシーの1年でヨコハマタイヤの使い方を覚えたようだ。セッティングにおいても土屋武士監督曰く0.1mmで激変するヨコハマの「ツボ」があるという。

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